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佐川氏喚問 肩透かしで終われない

 なぜ財務省の決裁文書が書き換えられたのか。肝心な点は何一つ明かされなかった。佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問は肩透かしに終わっている。

 森友学園への国有地売却が適正だったとする政府の説明には疑問符が付いたままだ。引き続き関係者を国会に招致し、全容解明を進めなくてはならない。

 森友側との土地取引に関する14文書で記載が削除されたり、書き換えられたりしていた。佐川氏は改ざんが行われた当時の理財局長である。衆参の予算委員会で2時間ずつ行われた喚問は経緯を問う機会として注目された。

 佐川氏は「国会で大きな混乱を招いた。国民の行政への信頼を揺るがし、誠に申し訳ない」と謝罪した。当時の担当局長として自身の責任を認めている。

 一方で、改ざんの経緯は「刑事訴追の恐れがある」として証言拒否を繰り返した。誰がいつ何のために指示したのか、具体的なことは全く分からない。

 安倍晋三首相や妻昭恵氏の名前が削除された理由も「経緯に関わる」として答えなかった。改ざん前の文書を見たことがあるか、昭恵氏の名前を見たのかといった質問にも証言を拒んでいる。「これでは意味がない」と野党議員が抗議したのはもっともである。

 対照的だったのは、財務省幹部や政治家らの関与についての証言だ。首相や首相秘書官、麻生太郎財務相らから指示があったかと問われ、いずれも「なかった」と明言している。理財局の一部職員が行ったとする政府と歩調を合わせるかのような説明である。

 問題の核心は、国有地の大幅な値引きが公正、公平に行われたのかどうかだ。佐川氏は「適正に行われたと今でも考えている」と述べたものの、一方的な主張は説得力を持たない。

 文書からは「本件の特殊性」など特別扱いをうかがわせる表現や政治家らに関わる記述が削除された。改ざんの動機や経緯をはっきりさせ、売却問題の解明につなげなくてはならない。

 佐川氏が証言拒否を繰り返した以上、改ざんに関わった職員らに説明を求める必要がある。さらに売却を巡り、当時の理財局長や担当者、昭恵氏や首相夫人付だった政府職員の招致も欠かせない。

 自民党の二階俊博幹事長は、政治家の関与がなかったことが明白になったと述べている。幕引きを急ぐ状況ではない。与党は、野党が要求する関係者の国会招致に応じるべきだ。

(3月28日)

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