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英語民間試験 入試への導入は疑問だ

 公平、公正な入試ができるのか―。大学にも高校にも懸念する声が強い。文部科学省はなぜ現場を置き去りにして導入を急ぐのか。いったん立ち止まり、検討し直すべきだ。

 大学入試センター試験に代わる共通テストの英語に活用する民間の検定試験8種類を文科省が認定した。従来の「読む・聞く」に加え「話す・書く」力を評価することを目的に導入する考えだ。

 共通テストへの移行は2020年度からの予定である。この4月には最初の受験生が高校に入学する。残り3年足らずとなって、課題は山積している。無理を通せば、高校にも受験する生徒にも戸惑いと混乱を広げる。

 そもそも民間試験は大学入試に使うことを前提にしていない。目的はそれぞれ異なり、欧米への留学に備える試験も、商用の英語力を測る試験もある。その試験結果を一律にどう比べるのか。

 文科省が持ち出したのは、語学力の国際基準「CEFR(セファール)」だ。各試験の得点が6段階評価のどこに当てはまるかを示す対照表を公表している。試験の結果はCEFRの評価とともに受験生が志望する大学に送られる。

 ただ、CEFRとの対応はあくまで試験を運営する団体の報告に基づく。文科省が独自に検証、審査してはいない。英語力の大まかな指標であるCEFRを試験結果の対比に用いること自体、おのずと限界がある。

 東京大は公平さが確保できない懸念があるとして、合否の判定には用いないことを表明した。国立大学協会も慎重な姿勢だ。民間試験の配点が英語全体に占める割合を最大でも1割未満に抑える案を示している。

 高校からも「立ち止まってほしい」という声が上がる。民間試験への対応が重視されれば、本来の授業がおろそかになりかねない。塾や予備校に頼る傾向が強まり、住む地域や家庭の経済力によって格差が生じる恐れもある。

 民間試験の成績は2回分が大学に送られるが、受ける回数自体は制限がない。何度も受けられる生徒が有利になる。受験料は試験によって6千〜2万5千円ほどかかる。不利な生徒への支援策は具体的になっていない。

 大学入試は公平、公正であることが何よりも大事だ。学校の教育のあり方と密接に関わるだけに、改革は本来、大学や高校の合意の下に進めなければならない。その根本を欠いたまま文科省が先走れば禍根を残す。

(3月28日)

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