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強制不妊手術「任意」と記載 医師の実施報告書 県が公開

県が27日に公開した不妊手術の実施報告書。「任意又は強制手術の別」の欄には、「任意」と書き込まれている県が27日に公開した不妊手術の実施報告書。「任意又は強制手術の別」の欄には、「任意」と書き込まれている
 旧優生保護法(1948〜96年)に基づき障害者らへの強制不妊手術が繰り返されていた問題で、1982(昭和57)年に強制手術を受けたとされる上高井郡小布施町の当時30代の女性について、医師が記入する手術実施報告書には、本人同意に基づく手術を意味する「任意」と記載されていることが27日、分かった。ずさんな手続きによって手術が行われていた可能性が浮かび上がり、専門家は、厳格な手続きを行ってきたとする厚生労働省の見解を崩す内容と指摘している。

 県は同日、信濃毎日新聞の情報公開請求に対し、県が保有する手術実施に関する資料を公開。小布施町の女性に関する資料は計23枚あった。氏名や住所など個人が特定できる部分は黒塗りとなった。

 同法では、本人の同意に基づく手術のほか、手術が必要と判断した医師が適否を判断する「県優生保護審査会」に申請し、審査会で適当とされた場合に、本人の同意を得ない強制的な手術ができた。

 82年2月12日付の手術申請書には、医師が「精神分裂症にて当病院に入院しており、病状は一進一退で(中略)退院させても再発の可能性があるため」と記載。手術が「適当」と判断した同審査会の適否決定通知書は同年3月25日付で、実施報告書に記入された手術日は、申請から約2カ月後の同年4月14日だった。

 一方、手術した医師が記入した実施報告書で「任意又(また)は強制手術の別」の記入欄は、本人同意に基づく手術を意味する「任意」になっていた。また、手術申請書などでは、遺伝性の疾患と非遺伝性の精神疾患で異なる同法の適用条文が未記載だった。

 大学教授や障害者らでつくる「優生手術に対する謝罪を求める会」メンバーの米津知子さん(69)=東京都=は「厚労省はこれまで、厳格な手続きにより手術を実施しており、優生手術に問題はないとしてきたが、その見解を崩すことになる。国は責任を持って手術の実態を解明するべきだ」と指摘している。

 この女性の手術を巡っては、県の統計資料で判明していた強制不妊手術の件数474件(50〜79年)の対象に含まれておらず、県保健・疾病対策課は「『任意』とされた実施報告書を基に本人同意を得た手術と認識され、統計に反映されなかった可能性が否定できない」としている。

 県がこの日開示したのは、2月中に県内5カ所の保健福祉事務所で確認された、69〜2002年の優生政策などに関する書類のつづり6冊分の資料計657枚。手術の候補者を含めて男女5人の個人名が記されているが、小布施町の女性以外は手術を受けたかどうかは資料からは確認できない。

(3月28日)

長野県のニュース(3月28日)