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北朝鮮の金日成主席が乗った特別列車が到着すると銅鑼(どら)や太鼓が鳴り響いた。1975年4月、国境に近い中国遼寧省丹東市。一行はにぎやかな歓迎を受けた。列車は翌日北京に到着。金日成はその夜、中国の指導者毛沢東と会談した

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金日成は武力による朝鮮統一を目指し毛沢東の支持を取り付ける腹づもりだった。会談時間は30分。急いで本題に入ろうとすると毛沢東の話は愚痴から始まった。「私は足が弱くなり、話もスムーズにできなくなった。目は白内障だ。あなたは元気か」

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毛沢東は話題をそらし続けて最後に言った。「私は政治の話はもうしない。〓小平と話してもらおう」と。7日後、送別宴会での金日成の演説には失望感がにじんでいたという。中国の研究者沈志華氏が著した「最後の『天朝』 毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮」から引いた

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朝鮮戦争には中国人民義勇軍が参戦した。有事には互いに軍事支援する条約もあり中朝は「血盟関係」とされた。だがそれは「神話」であり既に中朝は「同床異夢」の関係になっていた。歴史を踏まえた現実的な北朝鮮政策が重要とこの本は訴えている

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孫の金正恩氏が特別列車で北京に入り習近平氏と会談した。非核化の意欲を示した金氏に習氏はどう応じたのか。特別列車は昨日朝、丹東駅を経て帰国している。祖父の時とは打って変わってにぎやかな歓迎も見送りもなく厳戒態勢が敷かれた。歴史の岐路になるのか先行きが気にかかる。

(〓は登の右に郊のツクリ)

(3月29日)

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