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自動運転車 公道実験の安全十分か

 公道実験の安全確保策を改めて検証しなければならない。

 米国で自動運転車による死亡事故が発生した。米西部アリゾナ州の公道を試験走行していた米配車大手ウーバー・テクノロジーズの自動運転車が、道路横断中の女性をはねた。

 公道実験中に歩行者が死亡した初めての事故とされ、米道路交通安全局(NHTSA)が原因などを調査している。

 影響は多方面に出ている。

 州知事は「安全性に多くの懸念が生じた」として、ウーバーに対し州内での実験中断を指示。ウーバーは4都市で実施していた公道実験を取りやめた。トヨタ自動車も米国の公道で実施していた走行実験の一部中断を発表している。

 米国内では、自動運転車の開発を目指し、自動車メーカーやIT企業がしのぎを削っている。公道をテストコースのように使うことへの批判も出ていただけに、事故に対する反発もあるようだ。

 半自動運転モードを備えた乗用車が、米カリフォルニア州の高速道路で中央分離帯に衝突する事故を起こし、男性が死亡していたことも判明した。車線逸脱を防ぎ、適切な車間距離も保つよう設計されていた。

 同州では4月から運転手がいない完全自動運転の公道実験が認められる。事故が十分に検証されないと、実験に対する批判が高まり、開発に影響するだろう。

 日本でも公道実験は広まりつつある。自動車メーカーだけでなく、日本郵便が自動運転車で郵便物を運ぶ実験を開始。パナソニックも京都府内で始めた。

 事故の抑制だけでなく、過疎地での交通手段の確保につながる期待もある。県内では国土交通省による自動運転バスの実証実験が伊那市長谷で2月に実施された。

 公道実験は実用化には不可欠とはいえ、安全確保が前提である。システムは確実に機能するのか、非常時の対策は足りているか、周辺の環境に想定外のリスクはないのか―。実験を実施する企業や団体は未確立の技術であることを肝に銘じ、改めて点検してほしい。

 政府は2025年をめどに、完全自動運転車を実現する目標を掲げている。一方で事故発生時の法的な責任の所在など、整理しなければならない問題は山積している。機械にどこまで安全確保を任せることができるのか、技術的な検証も必要である。

 夢の技術を実現するには、地道な取り組みが欠かせないことを忘れてはならない。

(3月30日)

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