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長野少年鑑別所の「地域援助」、増える相談

長野少年鑑別所の相談室。心理療法に使う模型などが置いてある。成人も含め、地域からの相談が増えている=長野市長野少年鑑別所の相談室。心理療法に使う模型などが置いてある。成人も含め、地域からの相談が増えている=長野市
 長野少年鑑別所(長野市)が入所する非行少年とは別に、地域で非行や犯罪につながりかねない問題を抱えた人や関係者らの相談に対応する「地域援助」の件数が2017年は延べ559件に上り、鑑別所の本来業務となった15年の4・7倍に増えたことが29日、分かった。地域援助は大人も対象。制度の周知が進むにつれ、非行だけでなく、知的障害などが要因で社会にうまく適応できない人の相談が世代を問わず寄せられるようになり、問題行動を繰り返してしまう元受刑者らの相談も増えているという。

 家庭裁判所で審判を受ける前の非行少年らが入所する少年鑑別所では、職員が心理学や教育学などの知識を生かして非行の背景分析などを担っている。一方、地域からの相談も「本来業務に支障のない範囲」でこれまでも受けてきたが、15年6月に施行した少年鑑別所法で、地域援助が本来業務に位置付けられた。背景には入所する少年の近年の減少もあるという。

 長野少年鑑別所によると、地域援助で受けた相談は15年が119件、16年が241件で、17年まで毎年倍増した。法務省によると、全国は17年が7787件で、15年の1・7倍となっており、長野の増加率は高い。警察や児童相談所以外で、民間を含めた相談窓口が比較的少ないことが要因との見方もある。

 長野少年鑑別所がこれまで受け付けた相談の当事者は、小学生から70代までと幅広く、少年と成人の割合はほぼ半々。相談者は、万引や暴力など少年の問題行動に悩む保護者や学校のほか、元受刑者らの社会復帰を支援する福祉機関や更生保護関係者もいる。当事者に知的障害や発達障害がみられるケースもある。非行や犯罪の知識が乏しい中で、問題を抱え込んでしまっている家族や学校、施設が目立つという。

 同鑑別所では、心理学の知見がある法務技官が当たり、心理検査なども活用して助言を続けている。同鑑別所の東山哲也・鑑別部門首席専門官は「その人が本当に求めていることや問題行動の意味、特性に合わせたアプローチ法を伝えている」とする。

 刑務所を出た高齢者や障害者を支える県地域生活定着支援センター(長野市)はこれまで、4人について同鑑別所に相談した。心理検査の結果、不安や孤独感のため盗みなどの衝動を制御しにくい状態になっていると分かった例もあった。石川貴浩センター長は「支援に行き詰まって悩んだ際、専門的なヒントをもらえてありがたい」とする。

 担当の法務技官は現在3人いるが、いずれも入所少年の対応との兼務で、「ぎりぎりの状態」で相談に対応している。地域援助の一環で講演依頼も受け付けており、今後は態勢の拡充が課題だ。同鑑別所は法務技官に加え、入所少年の日常生活の指導などを担当している法務教官も地域援助の相談に充てることを検討している。

(3月30日)

長野県のニュース(3月30日)