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御嶽マイスター 多彩な顔ぶれへの期待

 御嶽山火山マイスターの“1期生”が発表された。山の知識、噴火したときの注意点などを観光客、登山者らに伝える人たちだ。

 45人の応募があり、書類や面接で選考して8人を合格とした。山岳ガイド、山小屋経営者、小学校の教頭、公民館長ら多彩な顔ぶれがそろった。

 宗教登山、近代アルピニズム、暮らしの場など、多くの表情を持つ御嶽の魅力も高めてくれるだろう。活躍に期待したい。

 マイスターはドイツ語で、親方、師匠といった意味である。北海道有珠山の「洞爺湖有珠山火山マイスター」制度を参考に、地元木曽町と王滝村、長野県が中心になって準備を進めてきた。今度の8人を皮切りに、これからも募集していく方針だ。

 有珠山のマイスターは2000年の噴火をきっかけにスタートした。現在48人が登録し、観光客らに山の自然や火山の知識を伝えている。火山防災でも核になると期待されている。

 御嶽は有珠山と違い、本格的な登山の山である。宗教登山の歴史もある。山懐は大きく、豊かな生態系を持つ。マイスターが力を発揮しやすい山だ。

 木曽町と王滝村はいま、山頂一帯で山小屋やシェルターの整備を進めている。山頂の滞在は短時間にとどめ、休憩、宿泊は少し下がった小屋で、という登山の形が姿を見せつつある。

 地元はビジターセンターの整備にも近く取り掛かる。麓にメイン施設、山小屋などにサテライト施設を置く。センターはマイスターの活動拠点にもなる。

 御嶽に行けばビジターセンターや山小屋にマイスターがいて、山の歴史や文化、火山の仕組みを説明してもらえる―。観光客、登山者の間にこんな評価を定着させる運用を目指したい。

 噴火警戒レベルは昨年8月、2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)に引き下げられた。レベルだけから見れば14年秋の噴火前に戻った。

 ただし気象庁は引き下げに際して新たに、噴気孔からおおむね500メートルを「注意が必要な範囲」とした。山頂の剣ケ峰や、王滝口から山頂へのメインルート「八丁ダルミ」登山道がその範囲にかかる。警戒を要する状況は今も変わっていない。登山再開に向けては細心の注意が要る。

 御嶽再生を目指す地元の取り組みに対し、県は十分な支援をすべきだ。県民が関心を寄せ続けることも欠かせない。

(4月2日)

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