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米中貿易摩擦 対話による解決模索を

 米国の鉄鋼とアルミニウムの輸入制限に対する報復措置として、中国が米国から輸入する128品目に高関税を課すと発表した。

 昨年の対中輸出額で30億ドル(約3200億円)相当の米国製品が対象となる。

 米国は知的財産権の侵害を理由に、年間500億〜600億ドル相当の中国製品に、一律25%の追加関税を課す方針も示している。

 中国はこれにも報復措置を準備している。米国の主要輸出品である大豆や航空機を対象とする案が取り沙汰されている。

 このままでは、報復の連鎖が止まらなくなる。

 米国と中国は国内総生産(GDP)で世界首位と2位の大国だ。米中貿易額は世界最大である。貿易戦争に突入すれば、世界の貿易量が減少し、経済全体が停滞しかねない。第2次大戦後の社会を支えてきた自由貿易体制も揺らぐ。

 両国内にとっても、輸入品の価格上昇が国民生活に影響し、原材料として輸入品を使用する企業の競争力低下を招くだろう。

 各国の株式市場は、貿易戦争を懸念して不安定な値動きを続けている。日銀がきのう発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)でも、大企業製造業の景況感が2年ぶりに悪化した。

 世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長は「自制と対話」を呼び掛けている。当然の指摘だ。貿易紛争はWTOの枠内で解決しなければならない。両国は妥協点を見いだす努力をしてほしい。

 中国側は過剰生産を解消するべきだ。政府の支援を受けた国有企業が生産設備を拡大した結果、鉄鋼などの分野で過剰生産が深刻化している。国内で消化できない製品を安値で輸出して、世界的な価格低下を招いた。

 米国の輸入制限は、問題が解決しない状況にしびれを切らしたためでもある。

 米国のトランプ大統領は、中間選挙対策に貿易問題を利用している。不公正貿易の是正と国内製造業の保護に尽力していることをアピールし、貿易自由化に批判的な工業地帯の白人労働者の支持をつなぎとめる狙いがある。

 保護主義的な措置は、多角的貿易体制のルールを無視している。世界最大の経済大国として、許される行為ではない。

 WTOにも問題はある。紛争解決まで時間がかかるという不満が加盟国に根強い。今回の摩擦は存在意義が問われる問題だ。改善するべき点は早急に改め、解決に取り組まなければならない。

(4月3日)

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