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財政再建 成長頼みを脱する時だ

 財政健全化の新たな目標づくりを政府が進めている。先ごろ経済財政諮問会議で示された中間評価を見ても道は険しい。成長頼みではなく、歳出改革に本腰を入れる必要がある。

 基礎的財政収支の黒字化を目指す。税収などの基本的な収入で政策経費をどれくらい賄えているかを示す指標だ。黒字になれば、新たな借金をしなくて済む。

 2020年度の達成を掲げてきた。しかし、19年10月に予定している消費税増税の使い道を変更したことに伴い、断念している。6月をめどに新たな目標と、裏付けとなる歳出改革を決める。

 中間評価によると、18年度時点で収支は想定より6兆9千億円ほど悪化する。計画では、18年度に赤字を国内総生産(GDP)比で1%程度に抑えるとしていた。今年1月の試算では2・9%程度と高止まりの見通しである。

 歳出の効率化で赤字は縮小するものの、それ以上に拡大させる要因がある。最も大きいのは税収の伸び悩みだ。加えて、消費税増税の延期や補正予算での歳出膨張も影響している。

 もともと想定が甘かった。安倍晋三首相は「経済再生なくして財政健全化なし」とする。財政を立て直せるかどうかは首相の姿勢にかかっている。高成長を当てにするべきではない。

 経済財政諮問会議では、今後の取り組みとして歳出改革を「これまで以上のペースと範囲」で実施する必要性が指摘された。来年は統一地方選や参院選がある。国民の痛みを伴う改革を打ち出せるか心配だ。むしろ歳出拡大の圧力が強まる可能性もある。

 政府予算の規模は年々、拡大している。日銀による大規模金融緩和の下、借金を重ねることへの抵抗感が薄れていないか。政府は16〜18年度、社会保障費の増加幅を年5千億円に抑える目安を設けていた。社会保障だけでなく、歳出全般に切り込まねばならない。

 問題は財務省の信頼が失墜していることだ。森友学園への国有地売却を巡り決裁文書が改ざんされた。担当局長だった佐川宣寿前国税庁長官は経緯について証人喚問で証言拒否を繰り返した。

 改ざんに加え、森友問題の核心である国有地売却の経緯もはっきりしない。国民の財産が大幅に値引きして払い下げられた。

 真相を徹底的に解明する必要がある。政府、与党は佐川氏の喚問で幕引きを図ってはならない。公平さや公正さに疑念を残したままでは歳出改革はおぼつかない。

(4月5日)

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