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カジノ法案 造らないのが一番いい

 話が進むにつれ、疑念は高まっていく。

 カジノ中心の統合型リゾート施設(IR)実施法案を巡る自民、公明両党の協議が終結した。政府は今月中に法案を国会に提出する。

 安倍晋三政権は、IRを成長戦略の一環とし、地方の雇用創出や観光振興につながるとうたう。

 競争相手はシンガポール、マカオ、韓国といったアジアの国や地域になる。中国人富裕層のカジノ客が減り始め、業績は軒並み低調と指摘されている。

 政府やカジノに賛同する議員たち自身が、幻想に踊らされているように思えてならない。

 自公協議では、焦点だったIRの整備箇所数を3カ所とし、将来は追加も視野に見直す規定を加えた。日本人のカジノ入場料は6千円に設定。入場は週3回、月10回までと取り決めている。

 こうした規制に、当のカジノ事業者が「厳しすぎる」と反発している。入場時にマイナンバーカードで本人確認すること、政府が一律30%の納付金を徴収することへの抵抗感も強いようだ。

 3月の世論調査では、カジノ解禁に反対が65・1%を占めた。政府による意見公募でも「カジノを観光振興の前提にしない」との意見が最多となっている。

 同じ与党でも、公明はカジノ解禁に消極的だ。今回の協議では、規制を緩めたい自民が、公明の主張にだいぶ譲歩している。

 政府・与党、事業者、国民それぞれに不満が残るようなカジノは造らないのが一番いい。

 納付金の一部は、ギャンブル依存症の対策に充てるという。ならば政府はなぜ、依存症の経験が疑われる人が数百万人に上ることを把握していながら、パチンコや競馬、競輪といった賭け事の負の側面から目を背けてきたのか。

 依存症対策も、カジノ解禁のためのつけたりのようで信頼できない。現に自公協議では、対策の実効性を問う議論はほとんど聞かれなかった。依存症対策法案も国会で棚上げされたままだ。

 IR誘致に名乗りを上げている自治体はよく考えてほしい。

 造るとなれば、土地の確保、インフラ整備、治安強化策が伴う。青少年保護、依存症対策への一層の目配りも求められる。

 地方の人手不足が深刻な中、賭博場を設けてまで雇用を生む必要があるのか。観光面での波及効果は本当に望めるのか。

 “手っ取り早く稼ぐ”もくろみが外れ、大切な税金を浪費したのでは笑い話にもならない。

(4月5日)

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