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石綿で労災認定 JR社員の男性が会見

労災認定を受けた経過や病状について説明する小林さん(右)=4日、県庁労災認定を受けた経過や病状について説明する小林さん(右)=4日、県庁
 JR東日本長野支社で車両の修理や解体作業に従事し、アスベスト(石綿)が原因とみられる「悪性胸膜中皮腫」と診断され、昨年12月に労災認定を受けた小林信五さん(58)=長野市、休職中=が4日、認定後初めて県庁で記者会見した。同席した支援団体は、JR側が小林さんに対し、旧国鉄職員向けの「業務災害」認定を受けるよう促していたと説明。労災申請に消極的な姿勢が、民営化後も続くJRの石綿被害の実態を見えにくくしていると強調した。

 小林さんは1980(昭和55)年に旧国鉄に採用され、当時「長野工場」と呼ばれた長野総合車両センター(長野市)での作業に従事。昨年8月に中皮腫と告知され、同9月に長野労基署に労災を申請。12月に認定された。JR側は職歴を証明する事業主証明をせず、小林さんはかつての同僚8人に職歴を証明してもらい、認定にこぎ着けた。

 会見に同席した国鉄労働組合長野地方本部の若林進書記長は、小林さんの労災申請を巡る話し合いの際、同支社が「(旧国鉄職員の業務災害認定、補償をする)鉄道・運輸機構に連絡してください」「ルールだから」の一点張りだった―とし、同支社の対応を「不誠実」と批判した。

 NPO法人「神奈川労災職業病センター」(横浜市)の池田理恵常務理事は、小林さんの労災認定に関して情報公開請求した結果を公表。JR東日本の本社が労基署側に「原因及び発生状況が確認できない」と説明した一方、長野支社は「(民営化後の)87年から89年」に石綿にさらされていた―と矛盾した説明をしていたという。労基署は調査の上、小林さんは「(採用された)80年から99年まで」石綿にさらされたと認定した。

 池田さんは「本当は労災だが、(JRが)旧国鉄に責任を押し付けている事案や、職歴証明が難しく労災申請を断念した人もいるとみられる」と強調。闘病中のためマスクを着け、車椅子で会見に臨んだ小林さんは、「(自分のように)病に苦しんでいる人が労災申請できるよう頑張ってきたつもり。一人でも相談しようという人が出てきてくれることを願っている」と述べた。

 JR東日本長野支社は取材に、「(小林さんが)中皮腫を発症した事実は把握している」とした上で、労災認定については「コメントは差し控えたい」としている。

 石綿は2006年9月に製造や使用が全面禁止されたが、それまでに鉄道車両などに組み込まれていた石綿含有部品は禁止対象から除外されている。石綿対策全国連絡会議(東京)や厚生労働省によると、87年の国鉄分割民営化後の石綿の労災認定の統計はないが、JR現役社員の労災認定は極めて少ない。

(4月5日)

長野県のニュース(4月5日)