長野県のニュース

斜面

登山で大事なものといえば地図である。登るコースが表になるよう折り畳み、ぬらさないためにビニール袋などに入れてポケットへ。登っている間は常に周りの景色と照らし合わせる。ところが登山道が地図と合わないことがまれにある

   ◆

土石流などで元の道が崩れ、登山者が歩きやすいところを選んで登っているうちに自然に道ができる、といったケースである。こんな時は本当に困る。目の前の踏み跡が目的地につながっているのか判断に迷う。最悪の場合遭難につながりかねない

   ◆

国土地理院が登山者のスマートフォンの位置情報を地図修正に活用し始めた。登山者向け交流サイト2社と協定し、データ提供を受けて手直しを進めている。第1弾でホームページに公開された地図を開く。北アルプスの蝶ケ岳、八ケ岳本沢(ほんざわ)温泉付近…。確かに、かなり変わっている

   ◆

地図製作は今は写真測量が基本である。だがそのデータをそのまま紙に写すだけでは、使いやすい地図にならないという。国土地理院で長く製作に携わった山岡光治さんが勘所を著書「地図に訊(き)け」で紹介している

   ◆

例えば細かなつづら折りの道は屈曲の数を適度に減らして描く。その方が実際の姿をイメージしやすい。盛り込む情報は正確ならいいというものではないらしい。「正確さの中に小さなうそを入れる」のがこつ、と山岡さんは書いている。スマホデータは正確さでは文句なし。地理院の職人芸でどう生かされるか、楽しみだ。

(4月8日)

最近の斜面