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ハリル監督解任 W杯目前にした今なぜ

 解任論がくすぶり続けていたとはいえ、ワールドカップ(W杯)の開幕が迫った今になってなぜ、と思う。

 日本サッカー協会が代表チームのハリルホジッチ監督を解任した。6大会連続でW杯の出場権を得はしたものの、チームの調子が上向く兆しは見えなかった。先月の海外遠征でのふがいない戦いぶりが決め手になったという。

 後任にはJリーグのガンバ大阪などで監督を務めた西野朗氏が就く。選手の選出を経て、W杯が開幕する6月14日まで実質的な準備期間は1カ月ほどしかない。厳しい状況だが、全力を挙げて立て直しを図ってほしい。

 前回、2014年のブラジル大会で日本は1勝も挙げられず、1次リーグで敗退した。大会後、新監督に就任したアギーレ氏は過去の八百長疑惑で半年と経ずに解任され、次に白羽の矢が立ったのがハリルホジッチ氏である。

 W杯での実績が評価されての起用だった。14年大会ではアルジェリアを初の16強に導いている。決勝トーナメントで敗れはしたが、優勝したドイツを苦しめた。

 一貫して目指してきたのは堅守速攻型のサッカーだ。相手守備陣の裏を突く、縦の速い攻撃にこだわりがあるという。

 ただ、最近の日本代表を見ていると、球際の強さにせよ、攻守の切り替えにせよ、世界との差はむしろ開いた感がある。主力となる次の世代は思うように育たず、故障者も相次いでチームとしての積み上げができなかった。

 戦術をめぐって選手との間に溝も生じていたようだ。先月の遠征でウクライナに敗れた試合も、その現れか。攻撃、守備ともにちぐはぐさが目についた。

 手腕を不安視する声が再び強まっていたのは確かだ。ただ、ハリルホジッチ氏にだけ責めを負わせられない。監督として迎え、ここまで指揮を任せてきたのは協会である。その責任は重い。

 解任が避けられなかったとするなら、どうしてもっと早い段階で決断できなかったのか。選手やファンを置き去りにするようなやり方はすべきでない。解任の理由を「総合的な判断」などと曖昧にすることも誠実さを欠く。

 代表のチームづくりや目指すサッカーの方向性は、監督を起用する段階から明確にしておく必要がある。その根本をおろそかにした面は否めない。場当たりでなく、長期的な展望に立って代表チームの強化をどう進めるか。協会は失敗を繰り返してはならない。

(4月10日)

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