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南牧・井出家と地方郵便の歴史 都内で18日に特別展開幕

特別展に展示する明治初期の郵便ポストを説明する井出新九郎さん特別展に展示する明治初期の郵便ポストを説明する井出新九郎さん
 南佐久郡南牧村海ノ口で代々郵便局を営んだ「井出家」と日本の地方郵便局の歴史をたどる特別展「日本の郵便と歩んだ井出家五代」が18日、東京都豊島区目白の「切手の博物館」で始まる。地方郵便局の草創期は資料が乏しく、井出家の資料は全国的にも貴重という。特別展に伴い同館は展示資料の解説書も刊行した。

 井出家は1874(明治7)年、日本に近代郵便制度を導入した明治新政府駅逓頭(えきていのかみ)・前島密(ひそか)の任命で、海ノ口の自宅に郵便取扱所を開設。3年後には自宅の敷地内に局舎を建てて「海ノ口郵便局」を開局し、当主だった三蔵さん(1811〜88年)が初代局長に就任した。以後4代にわたって局長を務めた。

 特別展には三蔵さんが受け取った前島の任命状や、月に数件ほどだった配達件数を記した「御勘定仕上書(ごかんじょうしあげしょ)」など、開局当時を物語る資料がそろう。開局当初は赤字経営。制度導入時の新政府の財力は乏しく、地方の有力者に局の運営を任せ、制度を維持せざるを得なかったという。

 解説書はB5判変型、80ページ。井出家代々の仕事を詳しく紹介している。2代局長善平さん(1840〜1906年)の時代には、カラマツ苗の通信販売や薬屋を営んで局の維持に努めた記録も残る。50年間局長を務めた3代局長の正水(まさみ)さん(1867〜1944年)の時代には日清、日露戦争と続いた。戦地の兵士らから正水さんに宛てられた軍事郵便も数多く残る。

 資料を提供した井出新九郎さん(77)=佐久市岩村田=は三蔵さんから数えて5代目。2007年の郵政民営化で、海ノ口郵便局は、郵便局株式会社(現日本郵便株式会社)が直接管理する郵便局となり、新九郎さんは海ノ口郵便局には勤めず、中込郵便局(佐久市)などで局長を務めた。多数の資料が残った理由は善平さんが資料をしっかり残す人で、それが家風になったと新九郎さん。「特別展が、地方郵便局の歴史や実態を知る資料が発掘されるきっかけになればいい」と話している。

 特別展は24日まで(23日休館)。午前10時半〜午後5時。高校生以上200円、小中学生100円。24日は入館無料。解説書は税別1600円。問い合わせは切手の博物館(電話03・5951・3331)へ。

(4月11日)

長野県のニュース(4月11日)