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議事録削除 発言の重みかみしめよ

 国会審議で議員の発言が議事録から削除されるケースが続いている。発言内容への批判などを受けて本人が削除に同意し各党が承認すると、発言はなかったことにされる。

 議事録は国会でどんな議論が行われたか国民に伝え、後世に残すためのものだ。たとえ問題の多い発言でも、その時を伝える大事な記録である。安易な削除は控えるよう与野党に求める。

 最近では3月13日の自民党渡辺美樹氏の発言がある。参院予算委の公聴会で、公述人として過労死防止を訴えた過労死遺族に向けて「お話を聞いていると、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえる」と述べた。

 同19日には同じく自民党の和田政宗氏が参院予算委で太田充理財局長に対し、太田氏が民主党政権時に野田佳彦首相の秘書官を務めていたことに触れながら「安倍政権をおとしめるために意図的な変な答弁をしているのではないか」と質問した。太田氏は「公務員として一生懸命仕えている。いくら何でも(そうした質問は)ご容赦ください」と声を震わせた。

 いずれも議員本人からの申し出を受けて予算委理事会が削除を決めている。議事録をいま開いても、そうしたやりとりがあったことは全く分からない。

 渡辺、和田両氏の発言が適切でないのは明らかだ。当事者を不当に傷つけている。

 だからといって発言がなかったことにするのはよくない。国会での議論は問題発言も含めて、国民にとり大事な情報だからだ。発言した議員は次の選挙で有権者の審判を受けることになる。

 議事録削除は発言した本人を結果として救うことになる。根拠のない個人攻撃など著しく不当な場合以外は記録に残すべきだ。本人から訂正や撤回の申し出があったときは、その経緯も含めて議事録に残せばいい。

 社民党の福島瑞穂氏の「戦争法案」発言問題を思い出す。3年前の参院予算委だ。

 福島氏は安保関連法案について「安倍内閣は14から18本の戦争法案を出すといわれている」などと質問。自民党が「レッテル貼りだ」と問題視して「戦争関連法案」などに修正するよう要求したものの福島氏は応じなかった。

 安保法を戦争法案と呼ぶのは政治的主張そのものだ。修正に応じられるはずがない。旧民主党は国際軍事協力法案と呼んでいた。

 国会で発言する重みを、議員は改めてかみしめるべきだ。

(4月11日)

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