長野県のニュース

加計獣医学部 「首相案件」だったのか

 加計学園問題を巡り新たな文書が明らかになった。獣医学部の新設地である愛媛県の職員が作成したものだ。

 首相秘書官が「首相案件」と述べたとの記載があった。中村時広知事が記者会見を開き、存在していたことを認めた。当時の秘書官は発言を否定している。国会で真相を突き止めなくてはならない。

 政府の国家戦略特区制度により愛媛県今治市に新設された。国内での獣医学部新設は1966年以来、52年ぶりだ。なぜ加計学園だけに認められたのか、理事長が安倍晋三首相の友人だったことから疑念が生じている。

 文書は職員の備忘録として存在していたという。2015年に県や市の職員らが首相官邸を訪れた際のやりとりの記録だ。当時、首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官が「本件は首相案件」と述べたとされている。

 備忘録は保管義務がなく、県庁内で現時点では存在が確認できなかったとしている。

 17年に地元の市民団体が新設計画に関する全文書の情報公開を請求した経緯がある。官邸の訪問記録について県の担当者から「廃棄済み」と伝えられていた。

 昨年の国会審議で、面会相手ではないかと野党に指摘された柳瀬氏は「会った記憶はない」などと答弁していた。

 文書が存在するとの報道を受けて「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」と改めて否定するコメントを発表した。「首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」とも言い切っている。

 発言があったのか、はっきりさせなくてはならない。

 新設について政府は適正だったとするものの、選定の過程には疑問が残ったままだ。既存の大学では対応が困難―といった新設の4条件を満たす明確な根拠は示されていない。

 文部科学省が内閣府とのやりとりを記した文書には「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などの文言があった。新設計画は公正、公平に進められたのか。愛媛県の文書によって疑念はさらに深まった。

 獣医学部は今月、開学した。だからといって、うやむやにはできない。国会に関係者を招致し、事実関係を問う必要がある。野党6党は柳瀬氏らの証人喚問を要求する方針で一致した。国会答弁が正しかったのかが問われている。与党も解明に尽くすべきだ。

(4月11日)

最近の社説