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御嶽ルール 地元の判断を支えねば

 御嶽山の地元、木曽町と王滝村が、火山活動に異変が起きた場合は、噴火警戒レベルが最低の1の状態でも立ち入りを規制する独自ルールを作ることになった。活火山を抱える自治体として、登山者や住民を守るために踏み出した主体的な動きとして評価できる。

 両町村と県が3月にまとめた御嶽山防災力強化計画に方針を盛り込んだ。死者・行方不明者63人を出した2014年9月の噴火災害を教訓にした計画だ。

 気象庁が5段階で発表する噴火警戒レベルは、火山性の地震や微動など火山データの分析に基づいている。レベルごとに規制範囲や避難行動が決まっている。

 14年の噴火で、前兆とも受け取れる地震多発を把握していたが噴火するとは判断できず、1に据え置いた。安全だと考えて登った人が犠牲になった。

 ただ、気象庁は当時、レベルを据え置く一方、地震多発の事実を「解説情報」として地元に伝えていた。自治体側は、この情報を生かすことができなかった。背景には、解説情報をどう生かすか、気象庁や自治体の間に共通認識が欠けていたことがある。

 独自ルール作りは、こうした意識を改め、気象庁の情報を具体的な防災対応に結び付ける取り組みとして意義がある。

 気象庁は災害を受け、レベル引き上げに至らなくても注意すべき変化があれば情報に「臨時」の文言を加えるようにした。これが独自ルールの判断材料となる。

 問題となるのは、どの程度の活発化でどこまで規制に踏み切るかだ。事前に正解は分からない。活発化しても噴火しないケースは多い。空振りによる観光へのダメージの心配も付きまとう。

 重い判断に踏み出すことになる地元を、国や県、研究機関はしっかりと支援しなければならない。名古屋大学は災害後、木曽町に新たに研究施設を設けている。関係機関同士の連携を強めながらルール作りを進めてほしい。

 全国では、北海道の有珠山で地元研究者と自治体が協力し、噴火前に住民避難を実現させた例がある。神奈川県の箱根山では火山活動が活発化した際、御嶽山の災害も教訓に、レベル1の状態から独自規制に踏み切っている。参考にしたい事例である。

 気象庁の観測データを土台に、地域の状況を知る自治体が主体的に動き、専門ノウハウを持った国や研究機関が支える。火山防災に欠かせない視点だ。

(4月12日)

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