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エネルギー政策 30年後も原発を使うのか

 このままではエネルギーの明確な将来図が描けない。

 経済産業省が2050年時点の長期エネルギー政策について、有識者会議で報告書をまとめた。再生可能エネルギーの主力電源化を目指すとしている。

 再生エネは「脱炭素化」につながる。世界情勢に左右されず自給できるエネルギーでもある。報告書の方針は当然だ。

 問題は、原発を選択肢の一つとして活用の余地を残したことだ。

 東京電力福島第1原発は、事故が住民と国土に与える影響の大きさをはっきりと示した。脱原発を求める世論は根強い。

 コストも高い。安全対策は何重にも必要だ。多額の費用がかかり、見合う効果は得られない。世界では経営が悪化する原発メーカーが相次いでいる。

 使用済み核燃料の最終処分問題も先送りされている。数万年も隔離することが必要になる。将来への負の遺産を今後も増やすのか。

 報告書が想定する32年後に原発を維持するには、新設するか、法定寿命の40年を超えて運転することが必要になる。そうまでして残す意味はどこにあるのか。

 有識者会議は脱原発を明確にして、プロセスを具体化するべきだった。原発に活用の余地を残していては国民は納得しない。

 政府は今回の報告書を受け、中長期的なエネルギー計画の指針となる基本計画を今夏に改定する。

 報告書は原発活用の余地は残しても、再生エネ重視の姿勢を明確に打ち出している。

 政府は3年前に策定した30年時点の発電比率を据え置く方針を示している。このままでは報告書との矛盾が広がる。

 現計画は、30年度時点の原発の発電割合を20〜22%、再生エネを22〜24%としている。

 ドイツやイタリアは15年時点で再生エネが30%を超えている。日本の目標は低すぎる。維持すれば再生エネ普及の芽を摘む。再生エネの発電割合を高め、原発を引き下げる方向で見直すべきだ。

 再生エネの普及には、課題が多い。発電コストは割高で、太陽光発電では欧州平均の2倍に当たる1キロワット時当たり20円だ。要因を分析して、競争力を高める必要がある。送配電網の増強や、蓄電池の開発なども欠かせない。

 日本は、再生エネが主流になりつつある世界の潮流に出遅れた。国が再生エネの普及を後押ししなければ差はさらに開く。取り返しがつかなくなる前に方針を転換しなければならない。

(4月12日)

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