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天然の冷蔵庫「風穴」を後世に継承 松本・稲核地区に保存会

松本市安曇稲核地区の風穴に酒を運び入れる蔵人ら。地区住民が風穴を守る組織をつくる=11日松本市安曇稲核地区の風穴に酒を運び入れる蔵人ら。地区住民が風穴を守る組織をつくる=11日
 松本市安曇稲核(いねこき)地区の住民らが、岩の間から出る冷気を使った天然の冷蔵庫「風穴(ふうけつ)」の保存や再活用を目指して「稲核風穴保存会」を5月に発足させる。同地区ではかつて多くの風穴があり、漬物の保存場所などに利用していたが、生活様式の変化で今も使われているのは3カ所ほど。自然の特徴を生かす生活文化を後世につなごうとしている。

 同市安曇の道の駅「風穴の里」を運営する稲核生産者組合によると、地区内の風穴は昭和30年代には30カ所以上あり、伝統野菜「稲核菜」の漬物の保存などに使われていた。ただ、残っているのは15カ所程度。使われなくなり、石垣が崩れたり、草に覆われたりしているものもある。

 道の駅に隣接する風穴は、所有する稲核町会が県の「地域発元気づくり支援金」を活用して2008年に改修。翌年から、市内の亀田屋酒造店、大信州酒造、笹井酒造の3社が春から秋にかけて新酒を貯蔵し、口当たりのまろやかさが特徴の「風穴ブランド」で売り出し、人気を呼んでいる。11日も3社の杜氏(とうじ)や蔵人らが純米吟醸や純米酒4500本余を次々と運び入れた。

 保存会はこうした新たな活用策をさらに模索する。地区内のほかの風穴を使えるように整備し、風穴の価値や他自治体の活用例を学ぶ勉強会も開催する計画だ。5月13日に地区内で設立総会を開く。

 保存会設立の呼び掛け人の1人で、稲核生産者組合の川上一治組合長(60)は「まずは多くの住民に風穴への関心を高めてもらい、地域の文化遺産として保存していきたい」と話している。

(4月12日)

長野県のニュース(4月12日)