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大分の山崩れ 原因調査と備えが急務

 こんな崩落が突然起きるとは。助かるにはどうすればよいのか。

 山肌がごっそりと茶色くえぐられた現場の写真を見ていると、衝撃とともに、不安が頭をもたげてくる。

 大分県中津市耶馬渓(やばけい)町の集落が大規模な山崩れに襲われた。幅200メートル、高さ100メートルにわたって裏山が崩れ、住宅4棟が巻き込まれた。計6人の死者・行方不明者が出ている。

 土砂崩れは通常、大雨で地中の水分量が増えたり地震で揺さぶられたりすると起きやすくなる。

 だが今回は、しばらくの間まとまった雨が降っていなかった。2年前の熊本地震の後、地盤が緩くなったとの見方もあるが、はっきりしたことは分かっていない。

 現地調査した専門家チームは、岩盤の風化が原因との見方を示している。地下の岩盤に裂け目ができ、堆積した土砂層を巻き込みながら崩れ落ちたとし、地下水の影響は限定的とみている。

 過去の火山活動の堆積物が風雨で浸食され、一帯は土砂崩れが起きやすくなっていたという。住民も「この辺りで過去にも何回か山が崩れた」と話している。大分県は昨年3月、現場周辺を土砂災害特別警戒区域に指定していた。

 地盤の弱いところでは大雨が降っていなくても崩落が起きることがあり、そのまれなケースに当たるということだろうか。

 2014年の広島市の土砂災害を機に改正された土砂災害防止法に基づき、都道府県は約51万4千カ所を警戒区域に指定した(18年2月末時点)。このうち約36万カ所が特に危険性が高い特別警戒区域となっている。

 長野県内の警戒区域は3月末時点で2万6950カ所、特別警戒区域は2万1322カ所に上る。

 同様の危険を抱えた山あいの集落は珍しくない。前兆はなかったのか、命を守るためにできることはなかったのか。対策につなげるためにも、発生原因を詳しく調べる必要がある。

 山間部では歴史的に、平たんな土地を農地に使い、自宅を危険性が高い斜面の近くに建てることが多い。移転も選択肢だが、愛着のある家に住み続ける気持ちは理解できる。資金面の課題もある。

 今回、間一髪で難を逃れた住民の一人は不気味な音に気付いて家から飛び出している。タイミングによるが、山の異変に気付くことができれば避難できる。普段から防災マップで危険を確かめ、住民同士で山の状態に目を向けるようにしておきたい。

(4月13日)

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