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FB情報流出 責任を自覚していたか

 一部の企業が膨大な個人情報を独占利用する危うさが浮き彫りになったといえる。

 世界最大規模の交流サイト、フェイスブック(FB)の会員情報が流出し、不正に利用されたといわれる問題である。流出した個人情報は最大で8700万人分に上る。2016年の米大統領選で、トランプ陣営の支援に情報が利用された可能性がある。

 悪意を持った利用者が規約を守らず、不正に利用したことが直接の原因だ。それでも利用者の個人情報を守るべきFB側の対策が不十分だったことは否めない。

 FBは原則実名で利用し、住んでいる街や出身校、友人なども登録できる。月間利用者数は世界で21億人超に上る。閲覧したサイトも含めた膨大な個人情報を分析して、対象を絞り込んだ広告が収入の98%を占める。

 流出は個人情報の学術利用で起きた。英国の研究者が13年に性格診断に関するソフトを開発し、FB利用者の情報を収集。研究者は規約に違反し、英国の政治コンサルティング会社に情報を渡した。この会社はトランプ陣営の選挙戦略策定に使ったとされる。

 FBは15年にこの会社に情報の削除を要求したのに、情報は消されなかった。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は上院公聴会で確認が足りなかった責任を認め、陳謝している。

 FBでは、ロシア政府とつながりのある企業が偽アカウントで米大統領選の世論操作を狙った政治広告を掲載したとして、問題にもなっている。

 交流サイトが蓄積する個人情報は、取り扱いを誤るとプライバシーを侵害するだけでなく、意図を持った勢力に政治利用される危険をはらむ。民主主義の根底を揺るがしかねない。

 FBの従業員は約2万5千人で、12年から5倍に増加した。企業価値を示す株式時価総額はトヨタ自動車の2倍超に達する。個人情報をビジネス利用して急成長した「時代の雄」が、責任を自覚しているのかが問われる。

 FBは外部業者による個人情報へのアクセスを制限し、得られる情報も減らすなどの対応を取った。偽アカウントや投稿内容を確認する要員も年内に5千人増やし、約2万人にするとしている。

 米議会では個人情報の収集や利用に関し、規制強化も議論されている。必要以上の規制はネットインフラの成長を阻害しかねない。まずはFBの対策が確実に機能するのか見守りたい。

(4月13日)

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