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石油発動機、たまらない 県内外でブーム

道の駅「女神の里たてしな」で発動機を回す愛好家=8日、立科町道の駅「女神の里たてしな」で発動機を回す愛好家=8日、立科町
 かつて脱穀機や耕運機などの動力源に使われた石油発動機を動かす趣味が、県内外でブームになっている。自力で修理したり、回る様子を眺めたりと、楽しみ方はさまざま。各地に愛好会が組織され、県内では北佐久郡立科町や長野市、安曇野市などで発動機の「運転会」も開かれている。愛好家らは「うるさくて煙くて、何が面白いのかという人もいるが…」としつつ、趣味の世界に浸っている。

 8日、立科町の道の駅「女神の里たてしな」。駐車場に並んだ発動機約100台が、マフラーから勢いよく煙を吹き出す。同町の立科発動機保存会が主催し、県内のほか三重、福島、新潟県などから愛好家約50人が集まった。

 「10年ほど前にインターネットで発動機を回す動画を見て、俺も始めようと思った」と農機具販売の芳沢力さん(70)=諏訪郡原村。持参したのは1923(大正12)年製の国産機。それまで米国産が主流だったが、食糧増産を目指す社会背景もあり、この頃に国産機の製造が始まったという。「愛好家同士で共通の趣味を語れるのがいい」

 発動機は愛好家同士の交渉やネットオークションなどで取引され、値段は数万円から数百万円まであるという。愛好家は「『ボンッ』と動きだした時の爆発音とにおいがたまらない」「動かない骨董(こっとう)より、動く骨董の方が面白い」などと話す。

 愛好家らによると、昭和30年代ごろまでは石油発動機が使われたが、徐々に小型ディーゼルなどに代わった。九州地方などを中心に十数年前、発動機を残そうという動きが起こり、全国に愛好会や保存会が発足。毎回200人ほどが集まる福島県会津坂下町をはじめ、国内各地で運転会が開かれている。

 愛好家には若者もいる。会員約40人の山梨県発動機愛好会の会長は、自動車整備士佐野亮平さん(27)=甲府市=だ。実家が農家で幼少期から農機具に親しみ「たどり着いたのはやはり発動機」。給料の多くをつぎ込み、約40台を所有する。「アナログな感じが逆に新鮮」と魅力を語る。

 立科町の保存会は昨年春に初めて運転会を開き、今回で3回目。近所の農家から譲り受けるなどして約50台を所有する自動車修理業の金子吉久会長(62)は「以前から立科でも開きたいと思っていた」と言い、道の駅「女神の里たてしな」で10月7日にも運転会を予定している。

(4月17日)

長野県のニュース(4月17日)