長野県のニュース

斜面

野鳥は今、恋の季節。「ケーン、ケーン」と鳴きながら悠々と構えているキジは、天敵に狙われないか心配になる。犀川の久米路橋(長野市)には、娘が落ちたキジを抱き「鳴かずば撃たれまいものを」と言って姿を消した悲話が残る

   ◆

病気の娘に食べさせたいと小豆を盗んだ貧しい父は架け替えた橋の人柱にされた。元気になった娘が「小豆飯を食っている」と周囲に自慢したばっかりに…。以後、娘は何も話さなくなっていた。軽率な発言を戒めつつ弱者の悲しみを伝えた民話である

   ◆

不用意でも権力者の発言となると展開は違うようだ。安倍晋三首相の国会答弁では累が周囲に及んでいる。まず森友学園問題で自身や妻の関与があれば「議員辞職する」と胸を張って即答した昨年2月の発言。これが財務省の決裁文書改ざんにつながった、との見方がもっぱらだ

   ◆

もう一つは加計学園問題での発言。無二の親友が進める獣医学部の新設計画を初めて知ったのは「17年1月20日」と断言している。その2年近く前から知っていたと疑われる文書が愛媛県などから示されても、言い逃ればかりで国民の疑念は募る一方だ

   ◆

見えを張るのは人のさが。とはいえ初めから丁寧に説明していれば、疑惑は長引かなかったろう。つじつま合わせに役人が四苦八苦する様は、かえって見苦しい。世論調査の内閣支持率は下がり、「首相が信用できない」との声も増えている。きちんと向き合うのは今からでも遅くはない。

(4月17日)

最近の斜面