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北斎も使った?アラビアゴム 弟子の絵の具箱から 小布施

平松葛斎の絵の具箱から見つかった黒や褐色のアラビアゴム=17日、小布施町の高井鴻山記念館平松葛斎の絵の具箱から見つかった黒や褐色のアラビアゴム=17日、小布施町の高井鴻山記念館
 江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎(1760〜1849年)の弟子が使い、上高井郡小布施町に残されていた絵の具箱から、固着材として「アラビアゴム」が見つかり、17日、桃山学院大客員教授で文化財修復が専門の山内章さん(59)らが同町で発表した。鮮やかな色合いを出すために北斎も使った可能性があるとして、今後、作品の詳しい分析の必要性を指摘している。

 アラビアゴムは、北アフリカ産のアラビアゴムノキの樹液からできる天然樹脂。水によく溶け、水彩画の固着材などに使われる。昨年11月、北斎の弟子で小布施村(現小布施町)の豪農、平松葛斎(1792〜1868年)の絵の具箱から、山内さんが黒褐色の固形物を回収。大阪産業技術研究所(大阪市)の分析でアラビアゴムと判明した。

 17日、小布施町の北斎館で記者会見して明らかにした。山内さんらによると、北斎が絵の描き方などを説いた「画本彩色通」でも画材として紹介され、江戸中期に秋田地方で生まれた洋風の絵画「秋田蘭画」にアラビアゴムが使われたとされている。当時の日本では希少で、海外からもたらされたとみている。

 山内さんが青い顔料の「ベロ藍」に、にかわとアラビアゴムをそれぞれ溶いて描き比べたところ、アラビアゴムでは「濃い紺色から薄い水色まで美しい青」を表現できたが、これに比べてにかわでは「やや褐色に濁った紺色」だったという。北斎が制作に携わったとされるライデン国立民族学博物館(オランダ)所蔵の「花見」や「端午の節句」には透明感のある青色が描かれており、山内さんらは、アラビアゴムを使った可能性があるとした。

 山内さんは、約20年にわたる町内の北斎作品などの修復で、絵の具をにかわで接着する修復もしてきたといい、「(修復の用材が)にかわだけでいいのか、課題を突きつけられた」と話した。葛斎の子孫で北斎館理事長の平松快典さん(82)によると、これまで絵の具箱は自宅の土蔵に保管。現在、町内の高井鴻山記念館で展示しており、北斎館への寄託を考えているという。

(4月18日)

長野県のニュース(4月18日)