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日米首脳会談 評価に足る成果なのか

 安倍晋三首相とトランプ米大統領の会談が終わった。

 大統領は、米朝首脳会談で拉致問題を提起すると明言した。政府与党からは「大きな意義があった」と、会談を評価する声が上がっている。

 手放しで喜べる成果なのか。本腰を入れて取り組むか定かでない大統領に、事態打開を委ねたことになる。日本外交の心もとない現況を浮き彫りにしている。

 日米首脳会談は6回目。今回は大統領の米朝会談開催の決断を受け、首相が申し入れた。

 北朝鮮情勢を巡り、両首脳は、核・ミサイル開発の放棄を目指し最大限の圧力を維持する、と従来の方針を確認し合った。大統領は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を北朝鮮に求め、「実りがないと思えば会談に行かない」とけん制してみせた。

 「実り」は何を指すのか。

 米国にとっての脅威は、米本土が射程に入る大陸間弾道ミサイルの開発だ。金正恩朝鮮労働党委員長と会談した、米中央情報局長官のポンペオ氏は先日、国務長官就任に向けた公聴会で、米朝会談の目的を「米国を核兵器の危険から決別させること」と断言した。日韓を射程に収める中・短距離ミサイルには言及していない。

 国内で疑惑に揺れるトランプ大統領にすれば、世界が注視する米朝会談で得点を挙げておきたいのが本音だろう。拉致問題も、核交渉の流れ次第で、どう扱われるか知れたものではない。

 貿易協議では、両国の立場の違いが明白になった。

 環太平洋連携協定(TPP)が日米にとって最善と言う首相に対し、「好条件が示されなければ復帰しない」と大統領。高品質の日本製品は米国の産業と雇用に貢献しているとの訴えにも、「日本に貿易障壁がある」と反論した。

 「米国第一」の大統領が経済面で譲歩する気配はない。

 米メディアは、北朝鮮と対話すべきでない―との主張を米国に無視された日本が、「このところ北東アジアで急速に孤立感を深めている」と報じた。両首脳が偶然に同じ柄のネクタイを着用し、首相が別の柄に替えたことには「従属的立場を示そうとしたのでは」とやゆされている。

 米国一辺倒の日本の外交が、海外の目にどう映っているかを物語る。北朝鮮問題への対処は他国任せでなく、直接掛け合わなければならない。中国や韓国との連携強化を視野に入れた外交戦略の練り直しが求められる。

(4月20日)

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