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柏崎刈羽原発 地元の目で検証継続を

 再稼働の是非を地元がどう判断するか不透明になった。東京電力柏崎刈羽原発である。

 慎重姿勢を示していた新潟県の米山隆一知事が辞表を提出した。米山氏は、東電が起こした福島第1原発事故を検証する県の委員会を通じ、国会や政府とは別に独自の検証を進めてきた。

 原発の安全性や事故時の避難方法を、時間をかけて地元で判断しようという取り組みだ。中途半端に終わらせることはできない。県政トップが交代するとはいえ、地元が納得できる結論が出るまで続けてほしい。

 女性問題の発覚による突然の辞職表明だった。米山氏は2016年、再稼働に慎重な泉田裕彦前知事の路線継承を掲げて当選した。「県民の命と暮らしが守られない現状において、再稼働は認められない」と語っていた。

 柏崎刈羽は、7基の原子炉を持つ世界最大規模の原発だ。東電が目指す6、7号機の再稼働による収支改善は大きく、経営再建計画の柱になっている。

 6、7号機を巡る原子力規制委員会の審査では、重大事故を起こした東電に原発を運転する資格があるかが焦点の一つになった。

 福島の事故原因は特定できていない。究明の姿勢もみられない。最後は、福島の廃炉をやり遂げるとの決意文を東電が出して「合格」した。福島と同じ沸騰水型の原発では事故後初めてだった。

 東電には、不信を招く対応がいくつもみられた。重大事故の際に対応の拠点となる免震重要棟の耐震不足を数年前に社内で把握しておきながら、事実と異なる説明を続けていた。審査終盤に明らかになっている。地盤の液状化によって防潮堤が損傷する恐れがあることも説明できていなかった。

 東電の安全意識への疑念は、合格後も払拭(ふっしょく)できていない。

 再稼働には地元の同意が必要だ。米山氏は、住民の健康と生活への影響、事故時の避難、事故原因の3点で検証を進めた。住民への情報伝達など、実効性のある避難計画をつくるだけでも2年程度かかるとの見方を示していた。

 新潟県の委員会は泉田前知事のころ、福島事故の検証の中で東電が事故当時メルトダウン(炉心溶融)を隠していたことを突きとめるなど、成果を挙げている。

 政府は、規制委が合格を出した原発の再稼働を進める方針だ。設備面の適否を確認する規制委の審査だけでは、安全を保障することにならない。地元の目線で確認することの重要性は変わらない。

(4月21日)

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