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サイト遮断 NTTの説明が聞きたい

 「海賊版サイト」による著作権侵害が横行している実態は深刻だが、政府の要請をいち早く受け入れたNTTの対応は疑問だ。

 政府が指定した3サイトへの接続を遮断する「ブロッキング」を行うと発表した。「政府の決定に基づき、緊急措置として実施する」とした文書を出し、記者会見は開いていない。

 インターネットの特定のサイトに接続させないよう政府が求めることは、検閲にあたる恐れがある。利用者の全ての通信を判別することが前提になるため、通信の秘密を侵すことにもつながる。

 NTTが、検閲や通信の秘密との関わりをどう判断したのかは明らかでない。政府の意向だから従うというのなら、通信事業者としての責任は果たせない。判断した根拠を明確に示すべきだ。

 漫画や雑誌を無料で読める海賊版サイトは大きな損害をもたらしている。出版社の経営や作家らの生活にも影響が及び、出版文化そのものを細らせかねない。

 けれども、野放しにできないからといって政府の介入が許されるわけではない。サイトを名指しして遮断を促した政府の緊急対策に対しては、法律学者や接続業者からも異論が相次いでいる。

 遮断はこれまで児童ポルノのサイトに限定して認められてきた。人格権を著しく損ない、拡散すると被害回復が困難なため、「緊急避難」として違法性が否定されると位置づけられたからだ。

 緊急避難が認められるのはごく例外的な場合に限られる。海賊版サイトにそのまま当てはめられない。対象拡大の歯止めがなくなれば、政府に批判的なサイトの遮断にもつながりかねないと懸念する声が上がっている。

 内閣府は、海外では40カ国以上がブロッキングを導入していると説明する。ただし、いずれも立法や司法判断に基づいて規制する仕組みをとっている。政府が指示しただけで特定サイトの遮断を認めているところはない。

 ブロッキング以外にも方法はある。海賊版サイトの収入源である広告を止めることもその一つだ。政府が指定した3サイトは既に閉鎖状態になっている。広告配信の停止が一因とされ、有効な対策になり得ることを示した。

 表現の自由や内心の自由に関わるだけに、政府の介入は本来避けるべきだ。号令になびくのでなく、海賊版サイトをのさばらせないための取り組みを主体的にどう進めるか。通信・接続業者は自らの責務を再認識してほしい。

(4月25日)

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