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公文書条例 自治体の責務として

 公文書管理条例を定めている自治体は全体の1%、21団体にとどまることが総務省の調査で分かった。県内では2013年に制定した小布施町だけだ。

 多くの自治体は規則や要綱で対応している。それらはあくまで役所の中の決まり事だ。

 議会の議決を経た条例により、公文書を住民の共有財産と位置付けて保存、公開のルールを明確化すべきだ。前向きの対応を県内自治体に期待する。

 調査によると、条例を持っているのは都道府県レベルでは東京、鳥取、島根、香川、熊本の5都県だけだった。長野県は文書規定で対応している。

 市町村を含め、全体の92%、1638団体は要綱などで定めていた。116団体には公文書管理のルールそのものがなかった。

 公文書管理法は公文書について「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とうたっている。重要性は自治体であっても変わらない。

 長野県の情報公開条例は目的に、県民の知る権利の尊重や、県民に説明責任を果たすことを挙げている。そのためには文書管理の厳正化が欠かせない。

 東京都の豊洲市場移転問題では、意思決定の各段階で文書が作成されていなかった。このため検証チームは文書ではなく、職員への聞き取りで調査せざるを得なかった。その結果、地下の盛り土がなぜされなかったのか、経緯や責任の所在は解明されないままになっている。

 障害者らへの不妊手術が繰り返された問題では、過去の事例の一部が自治体に残されていた公文書で明らかにされつつある。文書を保存し公開する大切さがこうした例からも分かる。

 総務省の調査では、公文書館を持つのは都道府県で33団体、全体の70%だった。市町村では97団体、6%にとどまる。

 県内では千曲市にある県立歴史館が県公文書館の位置付けだ。長野市、松本市などにもある。

 公文書管理は専門的知識を必要とする。住民にとって、あるいは未来に向けて、どの文書が本当に大切かは分かりにくい。小規模自治体が施設を整え人材を確保するのはなかなか大変だ。

 福岡県では6年前、県と市町村が共同で公文書館を開設した。県と市町村ごとに収蔵スペースを割り振り、文書を受け入れて管理している。嘱託を含め16人の職員で運営しているという。参考にしたい取り組みの一つだ。

(4月27日)

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