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大川小判決 学校防災への重い問い

 学校防災の在り方に大きな影響を与える内容といえる。子どもたちの命をあずかる全国の学校は、重く受け止める必要がある。

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市大川小学校の児童の遺族が市と県を訴えた訴訟の、控訴審判決である。仙台高裁は地震が起きる前の学校の防災対応について、市側の過失を厳しく指摘した。

 震災発生時、子どもたちは、津波の危険が迫る中で約50分間、教職員の指示で校庭に並んでいた。裏山への避難を求める声も上がったが、教職員から明確な答えはなかった。裏山ではなく、高さ約7メートルの堤防付近を避難先に決めて移動を始めた直後、津波が子どもたちをのみ込んだ。

 子ども74人と教職員10人が死亡・行方不明になっている。

 一審判決は、津波襲来の少なくとも7分前には市の広報車が避難を呼び掛けていたことから、現場の教職員は危険を予見できたと指摘し、市側の過失を認めた。事前の防災対応については、市側の責任を認めていなかった。

 控訴審は、事前の防災対応が適切だったかが争点になった。遺族側は避難マニュアルについて、改定して安全な高台に逃げるよう記されていれば、早い段階で避難できたと主張した。

 市のハザードマップで大川小は津波浸水予想区域ではなく、災害時の避難場所に指定されていた。市側は、マニュアル改定の義務はなく、当時の科学的知見では十分だったと反論していた。

 判決は、市と学校がマニュアルを実情に応じ改定する義務を怠ったと認定。浸水予想区域でなくても学校は川の近くで、危険性の予見は可能だったとした。

 遺族たちは、安全なはずの学校で子どもたちが犠牲になった事実の徹底検証を求めてきた。生き残った男性教員や児童から聞き取ったメモを破棄するなど、市側には不信感を招く対応もあった。遺族と悲しみを共有して検証する姿勢は十分だったか、市側は見つめ直すべきだろう。

 悲劇を繰り返さないよう、全国では、学校防災の強化に取り組む教育現場も出ている。三重県尾鷲市の宮之上小学校は、速足で高台に避難する訓練を昨年5回実施した。大分県では昨年度、県教委の要請で県立の全校の管理職が防災士の資格を取得した。

 日々の業務の中、実効性のある防災が後回しになってはいないか。学校で起きた最悪の災害が残した、重い問い掛けである。

(4月27日)

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