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同性パートナー 権利は守られるのか

 同性カップルを巡る法律の不備を浮き彫りにする訴訟である。

 急逝した同性パートナーの遺産相続について、大阪府の69歳の男性がパートナーの妹を大阪地裁に提訴した。40年以上にわたって一緒に生活して共に築いてきた財産を、妹に相続されたとしている。

 男性は妹に財産の引き渡しや慰謝料の支払いを求めている。

 同性カップルは、一緒に生活した期間がどんなに長くても、婚姻関係と同様の権利が法的に認められない。全国の自治体に広がっている同性カップルなどを公認する制度でも同様である。

 同性や両性を愛するのは趣味趣向ではない。生まれ持った性質であり、変わることはないとされている。それなのに望んだ人と結婚することはかなわず、遺産も相続できない。法の下の平等が保たれているといえるのか。

 提訴した男性は、遺体との対面も許されず、火葬にも立ち会えなかった。妹の代理人弁護士には「あなたには何の権利もない」と通告されたという。

 長年にわたる2人の関係や財産の形成過程を、司法がどう判断するのか。争点は多い。両者の主張にていねいに耳を傾けて、判断するべきだ。

 訴状によると、男性は学生時代にパートナーと知り合い、1971年ころから同居を始めた。男性が自営業で得た収入で生計を立て、2人の同居は妹も認識していたという。

 パートナーは2016年3月に急逝した。すると妹はパートナーが名義上の代表だった事業の廃業を一方的に通告。2人で老後の生活の基盤にしようと約束していたパートナー名義の財産は、妹が相続したという。

 男性は「同性カップルという理由で法的に守られないのは納得がいかない」と主張している。

 権利が保障されないのは男女の事実婚などでも同様である。相続上の権利は、最高裁が判決で否定している。

 同姓を強制されるなどの理由で婚姻の届けをあえて出さず、事実婚を続ける人たちは少なくない。

 企業では、同性婚や事実婚のパートナーを配偶者として処遇し、手当や祝い金などを支給するケースが増えている。生命保険会社なども、保険の受取人として認めつつある。

 社会は既に実情に合わせて進んでいる。法律は人が持つ当たり前の権利をどう保障するのか、改めて考えていく必要がある。

(4月30日)

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