長野県のニュース

エネルギー計画 方針転換に踏み込む時

 方針転換を先送りにした計画では、エネルギー安定供給の要請に応えられない。

 経済産業省が有識者会議に示した次期エネルギー基本計画の骨子案である。国の中長期的なエネルギー政策の指針となる。

 原発依存度をどう下げるか。再生可能エネルギーをどう拡大するか。道筋を示していない。

 計画は3年ごとに見直される。いまの計画は、2030年度の原発の発電割合を20〜22%、再生エネを22〜24%としている。骨子案は、これを据え置いている。

 原発は12年の原子炉等規制法の改正で、運転開始後40年の廃炉が原則になった。現在ある原発は老朽化が進む。ルールを徹底すると、30年の原発比率は2割を大きく下回ると指摘されている。

 据え置かれた原発の割合を達成するには、新増設や運転延長が前提となる。福島第1原発事故を踏まえれば、安全面からも認められない。世論の批判が強い原発を温存するのに加え、「重要なベースロード電源」との位置付けも踏襲している。

 原発が低コストとする根拠も揺らいでいる。

 事故後に厳しくなった国の新規制基準に対応するには、大規模な安全対策が必要だ。仮に20年の運転延長が認められても、最長60年で廃炉になる。出力が小さい原発ほど採算は合わない。四国電力伊方2号機など、採算面から廃炉を選ぶ事例も増えている。

 骨子案は原発の「再構築」を提言しているが、具体的内容がはっきりしない。これではエネルギー政策の指針の役目は果たせない。新増設は経済面からも厳しくなっている現実を直視すべきだ。

 次期計画は、2050年に温室効果ガスを8割削減する国際公約に対応する必要がある。このため、30年に加え、50年に向けた長期戦略を含む内容となる。

 骨子案は太陽光や風力などの再生エネについて、主力電源化を進めると明記した。一方、50年の発電割合目標を示すことは見送った。本気度が疑われる。

 原発が実質的に高コスト化する一方で、再生エネへのシフトは世界的な潮流となっている。日本は立ち遅れている。再生エネの普及に向けた課題解決には、公正な競争を促す電力市場の整備や、送電網の適正な運用といった取り組みが欠かせない。

 原発依存から脱却して再生エネに比重を移す―。政府は、転換方針を計画でより具体的に打ち出していくべきだ。

(4月30日)

最近の社説