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斜面

前方に浅間山が迫るにつれ後ろの八ケ岳が小さくなる。新緑の高速道は爽快だった。開通日、中部横断道を八千穂高原インターからゆっくり走った。道路公団民営化に伴う計画変更から14年余、当時の状況を思えば感慨深い進展である

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「官から民へ」の小泉構造改革で、高速道計画は管理費を賄える利用があるかが問われた。既に工事が始まっていた佐久地方の横断道は、採算性などの評価で最低ランクとされた。料金収入から税金で整備する「新直轄方式」に変わったのはこのときだ

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新直轄は優先順位が低く財政事情に左右されるため、先行きが読みにくい。半面、原則無料のメリットがある。財政難にもかかわらず工事が進んだのは、景気対策の財政出動が続いたことが大きい。東日本大震災をきっかけに「国土強靱化(きょうじんか)」の声が高まったことも追い風になった

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地元は費用対効果の壁を越える大義を「救急医療」に求めた。患者の搬送時間が短縮できる―と。国土交通省も後押しした。佐久市が当初、県厚生連が購入した用地への基幹病院建設に強く反対したのは、この大義も絡んでいたから、との見方もあった

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工事費用を抑えるため設計も工夫をしている。当初見込みを上回ったのは、残土処理、地盤改良など予想外が重なったためという。今度の開通で地元では中央道への延伸に期待が高まる。沿道では子どもたちがうれしそうに手を振っていた。後の世代にツケを回す道にはしたくないものだ。

(4月30日)

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