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近代化の号砲を鳴らした150年前の明治維新は、長崎・浦上のキリシタンにとって“迫害の旅”の始まりだった。長崎市の国宝大浦天主堂に先月オープンした「キリシタン博物館」で、弾圧に耐えて信仰を貫いた庶民の強さに触れた

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禁教下の幕末に天主堂ができたのは開国でやって来た外国人のためだ。完成から間もなく、浦上の潜伏キリシタン十数人がフランス人神父を訪ね、ひそかな信仰を打ち明ける。「信徒発見」の知らせは宗教史上の奇跡として海外の教会関係者を驚かせた

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ところが神道の国教化を目指す新政府は幕府の禁教政策を踏襲する。浦上の約3400人は各藩へ流罪になり、拷問や苦役を科され改宗を迫られた。欧米に派遣された岩倉使節団が各国から抗議を受け、禁教を解いたのは維新の5年後だった。600人以上が亡くなったとされる

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このとき大隈重信は弾圧を非難する英国公使と渡り合い頭角を現した。大浦天主堂は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として今夏の世界文化遺産登録を目指す。厳しい監視をかいくぐって独自の信仰を育んだ「潜伏」は文化遺産に値しよう

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津和野藩に配流となった信徒は氷の池に投げ込まれた。帰郷した浦上に30年をかけ完成した東洋一の大聖堂は原爆で一瞬にして倒壊した。きょうは憲法記念日、島根県津和野町では信教の自由と平和を祈るミサがある。過酷な道を強いられ苦しみに耐えた先人に憲法の精神は重なっている。

(5月3日)

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