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パリ協定 ルール合意を急がねば

 気のもめる会合がドイツで開幕した。

 地球温暖化対策のパリ協定が2020年に始まるのを前に、各国が運用ルールの内容を話し合う。年末の国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が、交渉の期限となっている。

 先進国と途上国の主張の隔たりに加え、産油国と島しょ国も対立するなど、ルールを巡る協議は難航してきた。妥協を重ねれば、気温上昇を抑える協定の目標達成はおぼつかなくなる。

 温暖化の影響は深刻さを増している。昨年の経済損失は過去最大に。干ばつで飢餓状態に陥ったり海面上昇で居住地を追われたりする人々も後を絶たない。

 参加国は自国の利害にとらわれず、実効性の高いルールをまとめてほしい。

 パリ協定は、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることを目指す。世界の全ての国と地域が参加し、温室効果ガスの削減目標を掲げている。ただ、各国が目標を達成しても3度超の上昇は避けられないとされている。

 ルール作りでは、ガス削減の手法や取り組み状況の検証方法が議論されてきた。全参加国に同じ規則を適用したい欧州や日本に対し、途上国は過去の排出責任がある先進国に、削減強化や途上国への支援拡充を求めている。

 昨年11月のCOP23では意見を集約できなかった。

 途上国の言い分には一理ある。国際環境団体などは、19世紀半ば以降の累積排出量を考慮すれば、欧米や日本の目標値は著しく低いと指摘。削減を肩代わりする途上国への相応の資金援助が不可欠と訴えている。

 協定からの離脱を表明したトランプ米大統領が、途上国の温暖化対策に充てる国際基金への拠出も止めたことから、はしごを外された国々は不満を募らせている。先進国による支援の規模と仕組みは交渉の焦点の一つとなる。

 今回の会合は事務レベルの折衝で10日まで続く。一致点を見いだし、COP24までに、それぞれの国内で合意形成を急ぎたい。

 国内外で石炭火力発電を推進する日本には、他国の厳しい目が向けられている。20年度までのガス削減目標を、90年度の排出量より多く設定したことも批判の的だ。日本の代表団はCOP23で存在感を示せなかった。

 政府は自然エネルギーへの転換を柱に、電力政策を抜本的に見直すべきだ。国民に具体的な行動を呼びかける時にきている。

(5月4日)

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