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月にはカエルがすんでいる。もちろん、そんな事実はない。古代の中国の人たちが考えていたことだ。満ち欠けを繰り返す月と、冬は地中に隠れ春になるとよみがえるカエル。生命の再生という点で両者は共通するとみていたからである

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国立天文台名誉教授、海部宣男さんの著書「天文歳時記」で知った。日本でなじみ深い月のウサギも中国の伝説上の仙女に由来している。不老長寿の仙薬を盗み、月に逃げたとされる。家来のウサギが今でも臼をついて仙薬を作っているのだという

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これが日本では餅つきになったそうだ。月に浮かぶ模様は世界中で人々の想像をかき立てたのだろう。女性の横顔やカニ、ワニなど、さまざまに見立てられてきた。月面の模様を作る暗い場所は「海」と呼ばれる。と言っても水はない。マグマが冷えて固まった場所と考えられている

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月のウサギを巡り、新たな見立てが示された。くぼ地の下に氷が大量に埋まっているかもしれないというものだ。地球に届いた月の隕石(いんせき)を分析したところ、水がなければできない鉱物が含まれていたと東北大などの研究チームが米科学誌で発表した

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これまでも月の北極と南極に水が存在することは知られていた。研究チームは水を含んだ隕石が月に衝突し、温度の低い地下で凍って残ったとみている。地下から取った水を使い、月に人が住む―。いつか、そんな日がやってくるのだろうか。新たな想像もかき立ててくれる研究結果である。

(5月4日)

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