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県の間伐集計 過大に? 松枯れ処理算入

 県が2008年度以降、県内の森林の「間伐」実績に松枯れ被害木として処理した分を「間伐」とみなして加えてきたことが4日、分かった。アカマツの被害木7・65立方メートルを処理すれば、1ヘクタール分を「間伐」したと換算しており、県は「国が認めた方法」(森林づくり推進課)とする。だが、樹齢約30年のアカマツ林の場合、通常の間伐は1ヘクタール当たり約400本の伐採が必要だが、松枯れ処理の場合は被害木を約40本伐採しただけで1ヘクタールを間伐した計算になるなど、間伐実績が過大に集計されてきた可能性がある。

 松枯れ被害の拡大に伴い、間伐実績に加えた松枯れ処理分の割合は、08年度の約2割から15年度には4割近くまで増えた。専門家は「間伐の実態を正しく伝えていない」とし、集計方法の改善を求めている。

 林野庁は08年度、「森林を健全に保つさまざまな作業」を「幅広い意味での『間伐』」と定義し、松枯れ処理分を間伐実績に加えることを容認。松枯れ被害がない北海道などを除く、長野など全国の都府県が同年度から松枯れ処理分を間伐実績に加え始めた。具体的な換算方法は「地域で状況が異なり一律にできない」(林野庁整備課)として、各都府県に任されている。

 長野県の場合、07年度までの松枯れの被害木処理の実績で、1ヘクタール当たり7・65立方メートルのアカマツを処理してきたことから、これを1ヘクタール分の「間伐」と同等とみなす換算方法を適用した。

 その結果、県内の間伐面積は07年度の1万7123ヘクタールから、08年度に1万9310ヘクタールに増加。このうち約20%(3859ヘクタール)が松枯れ処理分だった。その後、松枯れ被害は拡大し、6年後の14年度は間伐面積1万6761ヘクタールの約34%(5718ヘクタール)、15年度は1万5221ヘクタールの約37%(5653ヘクタール)を松枯れ処理分が占めた。

 間伐は長年の研究や経験に基づき、樹齢などに応じて伐採の間隔や本数などの目安がある。一方、松枯れ被害木の処理は、伐採の間隔や本数は被害状況によってまちまちで、森林を育生する間伐と同等の効果を疑問視する声が林業関係者にある。

 県の換算方法だと、一つの地域で被害木が集中した場合、実際に手を入れた面積より過大な面積が間伐実績となった可能性がある。アカマツ林の間伐は、植樹から木材として伐採するまでの50〜60年の間に2回ほどが一般的だが、松枯れ被害が年をまたいで発生した場合、同じ地域で2年連続で間伐が行われたとみなされる矛盾も生じる。

 林業に詳しい島崎洋路・元信州大農学部教授は「間伐と松枯れの処理を同等に扱うという議論は飛躍しすぎだ」と指摘。「森林整備事業に対する県民の理解を得るためにも、まっとうな数字で実績を示すべきだ」としている。

(5月5日)

長野県のニュース(5月5日)