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阿部氏出馬へ 目指す将来像を明確に

 阿部守一知事が、8月の知事選に3選を目指して立候補すると表明した。

 きのうの記者会見では「共感と対話を基本とした県民参加の県政を進めたい」と述べている。

 阿部氏は1期目に「県民主権」、2期目は「県民起点の県政」を掲げた。県民参加は2期8年間の基本路線だったはずだ。

 それなのに県民との距離が広がっていないか。まずは8年間を謙虚に総括してほしい。その上で県民が将来を見据えて選択できるように、次の4年で目指すものを県民に具体的に示してもらいたい。

 会見で阿部氏は新たな県政運営の指針「県総合5か年計画」の意義を強調した。「学び」と「自治の力」を「政策推進のエンジン」と位置付けている。これを基に公約をつくるとしている。重要な県政の方針である。

 県民にはそれが伝わっていない。県民世論調査では、半数近くが指針を「全く知らない」と答えている。

 県民参加で事業の有効性などを点検する「県民協働による事業改善」は、昨年の傍聴者は計23人で過去最低を更新した。当初予算案編成に向けて募った意見や要望は、11年度は72件あったのに、18年度は16件だった。

 大北森林組合の補助金不正受給事件では、県は現場職員のみに賠償請求し、本庁の林務部職員は対象に含めなかった。世論調査では半数以上が「問題がある」としており、ここでも乖離(かいり)がある。

 阿部氏は県民と意見交換する県政タウンミーティングなどを重ねてきた。それが広い層の県政参加に結び付いているのか、検証するべきだ。

 箱物建設についても県民への説明が不足している。

 社会保障費の自然増などで財源は苦しい。預貯金に当たる財政調整基金を取り崩してのやりくりが続く。その中で県民の要望が強いとはいえない県立武道館(佐久市)新設などが本格化する。将来の負担にならないか懸念する声も多い。必要性や財政見通しを丁寧に語るべきだ。

 前回選では、阿部氏が自民党との関係改善を図り、共産党を除くオール与党態勢となった。今回の知事選でもその態勢が続くとみられる。県会や支持団体との関係を重視するあまり、県民の姿が見えにくくなっていないか。

 阿部氏が会見で述べた「安心し希望の持てる長野県」をつくるには、県民に向き合うことが最初の一歩になる。

(5月10日)

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