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柳瀬氏招致 疑惑はさらに深まった

 加計学園ありきの疑いは一段と深まった。これを踏み台に、与野党は解明の手だてを尽くすべきだ。

 柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致である。これまで「記憶にない」としてきた愛媛県や今治市職員との面会について、「随行者」の中にいた可能性を初めて認めた。

 加計関係者との面会は2015年2〜6月に3回だったという。権力の中枢にいる首相秘書官が首相官邸で3回も会うのは異例のことである。このことだけをとっても、加計学園に対する特別扱いがあったのではないかとの疑念はますます濃い。

 かねて問題になっている「首相案件」発言については、「普段から『首相』との言葉は使わないので違和感がある」「私の伝えたかった趣旨とは違っている」と、あいまいな言い方で否定した。

 「首相案件」発言は愛媛県職員が作った文書に記載されている。聞いてもいない言葉を記録に残す理由は、愛媛県側にはない。中村時広知事は記者会見で「職員の書類は全面的に信頼している」と述べてもいる。

 柳瀬氏はこれまで愛媛県関係者との面会について「記憶にない」の一点張りだった。軌道修正したのは愛媛県側が関連文書を公表したからだ。文書には「国家戦略特区の方が勢いがある」「内閣府藤原(豊)次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めてもらいたい」など、柳瀬氏の生々しい発言が記載されている。

 これとは別に、内閣府から文部科学省に宛てた「(関係者が)柳瀬総理秘書官とも面会するようです」とのメールも出てきた。

 「記憶にない」からの転換は、こうした事実に追い詰められてのことである。「首相案件」と言っていないとの言い分も、そのまま受け入れるわけにはいかない。虚偽証言への罰則がある証人喚問で問いただすことを、与野党は検討すべきだ。

 安倍晋三首相は加計学園による今治市への獣医学部新設計画を知った時期について、17年1月だったと述べている。その約2年前、15年春の段階で官邸と関係者の間で踏み込んだやりとりがあった可能性が、今回の柳瀬氏の参考人招致で強まった。

 学園の加計孝太郎理事長と首相とは、首相自身が「腹心の友」と呼ぶ関係にある。学部新設を巡り官邸など政府側が手取り足取り指南した経緯を、首相は本当に承知していなかったのか。こちらの疑問もますます膨らむ。

(5月11日)

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