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松本の松枯れ木伐採でオオタカの巣壊れる 専門家「指針作成を」

 松本市が4月に市内の山林で実施した松枯れ被害木の伐採で、県内で絶滅が危ぶまれている猛禽(もうきん)類のオオタカの巣が壊されていたことが13日までに分かった。県自然保護課によると、松枯れ対策に伴い、オオタカの営巣への影響が確認されたのは初めて。アカマツはオオタカが好んで巣を作ることで知られる。松枯れ被害が拡大する中、伐採が生息環境を脅かしている可能性があり、県は近く、市町村に文書で注意を促す方針だ。専門家は、伐採時期の変更や伐採前の巣の確認といった指針作成を県に求めている。

 日本オオタカネットワーク会員の曽我英理也さん(52)=塩尻市=が4月26日、松本市の山林で、小枝を円形に集めた直径1メートル弱の巣が地面に落ちているのを見つけた。周辺は4、5年前から営巣が見られるようになったオオタカの繁殖地だが、「今季は巣を壊され繁殖を中断し、あきらめた可能性がある」とする。

 松本市耕地林務課によると、一帯の山林では4月9日、委託した市内の業者が松枯れ被害木を伐採し、薬剤で薫蒸処理する「伐倒駆除」を実施していた。同課は「これまで被害木の伐採が、他の生物に影響することまで配慮していなかった」と説明。曽我さんの指摘を受けて5月初め、伐採前に巣の有無を確認するよう受託業者に通知したという。

 県森林づくり推進課によると、県内では2017年度、少なくとも43市町村が伐倒駆除を実施した。松枯れの原因とされるマツノザイセンチュウを運ぶマツノマダラカミキリが羽化する直前の4〜6月ごろに実施することが多い。曽我さんによると、オオタカが巣を作ってひなを育てる「最も敏感な時期」に重なるという。

 道路やダムなど大型開発工事の前には、絶滅が危ぶまれる動植物の生息状況や工事の影響などを調べる環境影響評価(アセスメント)を事業者が実施するが、伐倒駆除などは対象外。県自然保護課は「伐倒駆除でも生息状況に留意し、生息を確認したら必要な措置を講じる必要がある」と指摘しているが、巣の確認などは市町村に任されている。

 NPO「野生生物資料情報室」の植松晃岳(あきたけ)代表=安曇野市=は「伐倒駆除は否定しないが、伐採前に巣があるかどうか確かめるなど配慮してほしい。必要があれば専門家を交え、伐採時期を変更するなどの対応を検討する指針を県が主導して作ってほしい」と求めている。

(5月14日)

長野県のニュース(5月14日)