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3佐暴言処分 問題の認識が甘すぎる

 問題の重大性を認識しているのか。野党の国会議員に暴言を浴びせた自衛官に対し、防衛省が下した処分は軽い。シビリアンコントロール(文民統制)に懸念が募る対応だ。

 4月16日夜のことである。統合幕僚監部の30代の3等空佐が民進党(当時)の小西洋之参院議員を路上でののしった。「おまえは国民の敵だ」などの発言があったと小西氏が翌日の参院外交防衛委員会で明らかにした。

 防衛省の最終報告によると、3佐は小西氏に対して「国のために働け」「国益を損なう」などと発言した。一方で「国民の敵」との発言は3佐が否定したため、認定していない。小西氏の説明と食い違いを残す調査結果だ。

 その上で、3佐を内部規定に基づく訓戒処分としている。規律違反が、減給などの懲戒処分に相当しない軽い内容と判断された場合に行われる処分である。

 小野寺五典防衛相は「事実関係を調査し厳正に対処したい」と述べていた。これが、その結果なのか。国民の代表を幹部自衛官が罵倒する重大事である。「悪質なスピード違反でも懲戒処分。軽すぎて不均衡だ」など野党議員から批判が出るのはもっともだ。

 「品位を保つ義務」を定めた自衛隊法に違反するというのが処分の理由である。私的な立場での言動で「文民統制を否定するものではない」としている。

 この説明を受け入れることはできない。3佐は、小西氏が安全保障関連法に反対していたことが暴言につながったとしている。文民統制上、明らかに問題がある。

 実力組織を政治が指揮、統括するのは民主主義の基本原則だ。防衛省は文民統制について、国会と防衛省・自衛隊という組織の関係を律するもので、国会議員と自衛官という個人の関係を律するものではないとしている。苦しい言い分である。

 小野寺氏は当初「国民の一人でもあるので、当然思うことはあるだろう」と3佐を擁護するような発言をした。反発を受け「あってはならないこと」と述べるなど火消しに追われた。3佐の言動を許容する雰囲気が防衛省・自衛隊内にありはしないか。

 防衛官僚が自衛官より優位を保つ「文官統制」の仕組みが全廃されるなど制服組(自衛官)の立場が強まっている。文民統制の原則は徹底されているか。自衛官個人の問題として済ませるのではなく組織の在り方や認識を洗い直さなければ、信頼は取り戻せない。

(5月14日)

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