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加計学園問題 事態の収束には程遠い

 加計学園の獣医学部を巡る議論はきのうもかみ合わなかった。

 柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致で「加計ありき」の疑いは深まっている。問題の収束には程遠い。与野党ともに真相を解明する責任が重い。

 安倍晋三首相が出席し、衆参両院の予算委員会で集中審議が行われた。参考人招致後、首相が初めて国会で答弁する場だった。

 柳瀬氏は学園関係者と首相官邸で3回面会していたことを認めている。愛媛県、今治市職員との面会について「記憶にない」としてきた発言を軌道修正した。

 衆院予算委で首相は、秘書官と学園側との面会について「問題ない」との認識を示している。学部設置の認可を審査した有識者の議論に「影響を与えたことは一切ない」と主張し、自身の関与も改めて否定した。

 新設された学部の志願倍率に触れ「多くの学生の希望を閉ざしてきた、ゆがめられた行政をただした」とも述べている。

 規制緩和の必要性を強調するのは論点のすり替えだ。問題は、首相の「腹心の友」が理事長を務める学園にだけ獣医学部の新設が認められたことである。

 国会で柳瀬氏は、特区の関係で加計以外に面会した事業者はないと述べた。厚遇ぶりが一段と鮮明になっている。

 学園関係者と面会したことを認める一方、愛媛県や今治市の職員については「随行者の中にいたかもしれない」としていた。県側と言い分は食い違う。

 愛媛県の中村時広知事は、県職員が面会の際、メインテーブルに座り「県の状況をしっかりと発言している」と反論した。「全ての真実を語っていない」と柳瀬氏を批判している。

 共同通信社の世論調査では、柳瀬氏の説明に「納得できない」との回答が75%に上った。獣医学部新設の手続きが「適切だったと思わない」も70%近い。「プロセスに一点の曇りもない」と首相は主張するものの、国民の受け止めとは懸け離れている。

 柳瀬氏招致が終わると政権内から「一定の区切りがついた」などの発言が相次いだ。愛媛県職員の文書にあった「首相案件」発言も真相ははっきりしていない。終止符を打てる状況ではない。

 野党は、中村知事の招致や柳瀬氏の証人喚問を求めている。引き続き関係者から説明を聞き、経緯を明らかにする必要がある。与党も疑惑を拭い去りたいなら野党の要求に応じるべきである。

(5月15日)

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