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県北部の地震 活断層の危険に備えを

 県北部の長野市、大町市、小川村で最大震度5弱を記録する地震が起きた。震度5以上の地震は、県内では昨年6月に木曽地方で発生して以来だ。

 震源は浅い地殻内で、活断層が原因の直下型地震とみられる。建物にひびが入ったり物が落下したりしたが、目立った被害は確認されていない。

 県内には、全国的にも危険性が高い活断層が走っている。大きな揺れはいつどこで起きてもおかしくない。地下に潜む危険を改めて意識し、家屋の耐震化、家具の転倒防止、防災用品の準備など日ごろの備えを進める必要がある。

 複数の研究者が、2014年に長野市など県北部で震度6弱の揺れを起こした神城断層の南側の断層が動いたとの見方を示している。神城断層は大町市から白馬村を経て小谷村に至る。14年には北側が動いたと推定されている。

 活断層が原因の地震には1995年の阪神大震災や一昨年の熊本地震がある。建物や家具の倒壊で被害が広がった。松本市で起きた11年の地震でも男性が雑誌などに埋もれて亡くなっているのが見つかり、災害関連死と認定された。

 神城断層は、日本列島の中央部を多数の活断層が連続する糸魚川―静岡構造線断層帯(糸静線)の北部区間に位置する。県内の糸静線は、大きな地震が起きる危険性が最も高いSランクに分類されている。中でも安曇野市から茅野市に至る中北部区間が高い。

 県は15年、糸静線の全体が連動して動いた場合は県内各地で震度7の揺れが発生し、最大7千人超の死者が出るとの被害想定をまとめた。今回の地震が糸静線の他の活断層に影響を及ぼすようなことはないか。注意が必要だ。

 熊本地震では、被害が集中した地域住民の7割が、地元に活断層があるのを「知らなかった」と文部科学省の調査に答えている。地下には研究が及んでいない未知の断層も多いとされるが、少なくとも判明している活断層を意識し、危険性を認識しておきたい。

 耐震化も力を入れる必要がある。県内公立小中学校の昨年春の耐震化率は99・8%、住宅は80・1%だった。県は住宅について20年度に9割の耐震化を目指しているが、ペースは遅れている。

 14年の県北部の地震では、白馬村や小谷村で重軽傷者が出たものの、犠牲者は出なかった。住民同士の自主的な救助や避難誘導が機能したと指摘されている。自主防災組織の強化など、地域で助け合う態勢づくりも欠かせない。

(5月15日)

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