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イスラエル 人道に反する強硬策

 米大使館のエルサレム移転への抗議デモで子どもを含む50人以上のパレスチナ人が犠牲になった。負傷者も2700人を超えた。

 イスラエル側は「境界を防衛する義務がある」として銃撃を加えている。無人機を飛ばし、後方にいた女性や子どもにも催涙弾を投下した。非難の声が強まるのは当然だ。

 米国を後ろ盾に強硬策を続けても、イスラエルの立場への理解は広まらない。結局は孤立を招くことになるだろう。

 国連は1947年、ユダヤ人国家再建のため、パレスチナを二分し、エルサレムは国際管理下に置く決議を採択した。その後の中東戦争で、エルサレム全域を占拠したイスラエルは「不可分の永遠の首都」と宣言している。国際社会は認めず、2国家共存を和平交渉の原則に据えてきた。

 交渉は決裂を繰り返し、進展が見られない。火に油を注いだのがトランプ米大統領だった。

 昨年12月、エルサレムをイスラエルの首都と認定。撤回を求める国連総会の決議を無視し、大使館を移している。

 抗議デモについても米国は、イスラム組織ハマスがあおったと主張し、イスラエルの責任は問おうともしていない。

 年内にも新たな和平案を示すとするものの、東エルサレムを独立国家の首都と位置付けるパレスチナ自治政府の反発は強く、交渉に応じる気配はない。イスラエルに肩入れする米国の新提案に、各国が同調するとも思えない。

 イスラエルにしても同様だ。トランプ政権発足後、パレスチナ自治区への入植を急拡大した。迫害をやめず、故郷を追われたパレスチナ難民は累計で530万人に上るとの統計もある。

 1993年のパレスチナ暫定自治宣言(オスロ合意)をはじめ、国際協定をないがしろにする姿勢が目に余る。

 14日がイスラエル建国70年の節目なら、パレスチナの人々にとって15日は、大惨事を意味する「ナクバ」を思い起こす日だ。これ以上市民の犠牲が増えれば、トルコやイランなどイスラム諸国との紛争につながりかねない。

 「撃たれても構わない。祖国の地に帰る」。イスラエルとの境界フェンスに取り付くデモ参加者の失望の声は、状況を放置する国際社会にも向けられている。

 米国とイスラエルを国際間の取り決めに従わせるべく、毅然(きぜん)として対処しなければ、中東和平の端緒はつかめない。

(5月16日)

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