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「ナノ窓」で気体分離 信大特別特任教授、理論的に証明

 信州大環境・エネルギー材料科学研究所(長野市)の金子克美・特別特任教授(71)=ナノ化学=らは15日、ナノメートル(ナノは10億分の1)単位の原子レベルの穴が開いた炭素素材の膜を使い、空気から酸素や窒素、アルゴンを分離する技術を理論的に証明したと発表した。実用化できれば、医療・食品産業など幅広い分野に応用が可能で、分離に必要な電力消費を大幅に削減できるとしている。3年以内をめどに実用化を目指す。

 金子特別特任教授らは、炭素原子が蜂の巣状に結び付いた膜状の素材「グラフェン」に、酸素や窒素、アルゴン分子が通れる大きさの穴を開けることを考え、「ナノ窓」と命名。窓枠に当たる部分が動いて形を変えることで、特定の分子だけを通すことができると分かったという。

 空気から酸素などを分離するには、空気をいったん冷やして液化し、再び気体にする際の沸点の違いを利用して取り出す蒸留法が主流。ただ、冷却に大きな電力が必要だった。

 これに対し、「ナノ窓」を使った新たな膜分離法は、気体のまま空気を通過させ、酸素や窒素などを取り出せる。蒸留法に比べてエネルギー消費量を9割削減できるという。

 15日に記者会見した金子特別特任教授は、「化学工学分野の研究者と協力しながら、実用化を進めたい」と強調。バイオガスからの二酸化炭素(CO2)やメタンなどの分離にも応用する考え。

 研究成果は、今月4日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。

(5月16日)

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