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悪質タックル 信頼関係を崩壊させた

 激しく競い合うプレーはチーム同士の信頼関係が土台にあって成立する。指導者や競技団体が、その再構築に正面から向き合わねばならない異常事態といえる。アメリカンフットボールの試合で、日本大の選手の悪質なタックルによって関西学院大の選手が負傷した。

 問題のプレーについて、日大は関学大に回答書を出した。関学大は「誠意ある回答とは判断しかねる」としている。当然だろう。回答書は監督による指示を否定したが、選手からは、指示を認める証言も出ている。実態について納得のいく説明が求められる。

 両校伝統の51回目の定期戦で発生した。パスを投げ終えた後で無防備な状態にあった関学大のクオーターバックに対し、日大の守備選手が背後からタックルした。関学大の選手は全治3週間のけがを負った。半身不随にもなりかねない危険行為であり、スポーツの域を脱した暴力といえる。

 日大の選手はその後もラフプレーを繰り返し、退場になった。

 チームの対応も不可解だった。反則タックルがあったのに交代させず、その後退場してきた際も注意した様子はみられなかった。

 一連の状況は会員制交流サイト(SNS)に映像が出回り、批判が集中した。日大との試合を中止する大学が出て社会問題化した。

 その後の日大の対応も理解しがたい。監督は公式の場で説明していない。回答書では、「指導方針はルールに基づいた『厳しさ』を求めるもの」とした上で、「指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていた」と釈明した。選手が誤解して勝手にプレーしたということだろうか。

 アメフットはポジションごとに役割が決まっており、監督の指示を無視することは考えにくい競技だ。その意思が伝わっていなかったならば、なぜ注意をせずプレーを続けさせたのか。暴力的プレーについてどんな指導をしていたのかも明らかにしてほしい。

 日大と関学大は、日本のアメフット界を長年けん引し、好勝負を重ねてきた。大学王者を決める甲子園ボウルでは昨年、29度目の対戦が実現した。信頼関係が崩壊した状況は残念でならない。

 日大が所属する関東学生連盟は試合の4日後、当該選手を対外試合出場禁止とし、監督に厳重注意処分を科した。規律委員会で調査を進めており、追加処分を検討中だ。関学連は日大の影響力が強いと指摘する関係者もいる。組織としての自浄作用も問われる。

(5月19日)

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