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見渡す限りの畑が広がっている。米国東部の友人の実家は農家で、隣家まで8キロ以上あるという。警察署も消防署も見当たらない。備え置きの銃を見せながら、友人は「自分たちの身は自ら守るほかないのさ」と話していた

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18世紀の末、合衆国憲法に加えられた修正第2条。人民が武器を保有する権利―は、権力の専制を許さない自由な民の証しとして、英国から受け継いだ思想をもとに定められた。それから2世紀余がたち、友人は「銃を持つ自由は憲法で認められている」点だけを繰り返した

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米南部テキサス州の高校で、また銃乱射事件が起きた。本紙19日付朝刊の国際面には、同じ米国の7歳の男児がおもちゃ箱にあった銃で自分の頭を誤射するという痛ましい記事が載った。犠牲者だけでない。やりきれないのは、加害者にも若者が多いことだ

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フロリダ州の高校で2月に起きた乱射事件の後、現地の生徒らが懸命に銃規制を訴え、米市民の7割が賛同した。教師を銃で武装させるという発案は見当違いとして、高校生たちと直接話し合ったトランプ大統領は規制に動くかに見えた。ところが、今月初めの全米ライフル協会の演説では「修正第2条を守る」と言い切り姿勢を翻している

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中間選挙を前に、大統領も与党共和党も、強力な支持母体であり資金源でもある協会の機嫌は損ねられない、ということか。自由を守るためだったはずの銃が今、巨大な権力と化して市民の安全を脅かしている。

(5月21日)

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