長野県のニュース

イスラム理解 より多角的に 勉強会が会員制化

クルド民族をテーマに開かれた信州イスラーム世界勉強会の講演会の参加者=4月28日、松本市クルド民族をテーマに開かれた信州イスラーム世界勉強会の講演会の参加者=4月28日、松本市
 県内外の研究者やジャーナリスト、経済人でつくる「信州イスラーム世界勉強会」が本年度、より多角的にイスラムを理解する事業展開を図ろうと、自由参加の集まりから会員制の団体に移行した。専門家によると、イスラム世界を考える市民レベルの活動は全国的にも珍しい。会員から年会費を集めることで講師陣をさらに充実させ、料理教室など多彩な催しを企画する方針。過激派のテロリズムをはじめとする問題や増加が見込まれるムスリム(イスラム教徒)との付き合い方を市民レベルで考えたいとしている。

 勉強会は2015年、県内外のイスラム研究者や中東で勤務経験があるジャーナリスト、ムスリムと取引のある経済人らが結成。近年相次ぐイスラム過激派によるテロなどにより、本来平和を願う宗教であるイスラムが理解されなくなっているとの危機感があったという。

 県内在住の数人が核となり、これまでに駐日イラン大使やイスラム研究者らの講演を開催。中東・イスラム研究が専門の板垣雄三代表(東大名誉教授・本紙書評委員、諏訪市在住)の連続講座も開いた。ムスリムの暮らしを紹介するDVDを製作販売したり、県内のムスリムと交流するキャンプを開いたりした。

 講座などには毎回20〜60人が参加しており、「当初はこれほど集まるとは思わなかった」と事務局の渡辺聡さん(松本市)。同じく事務局の安部誠さん(北安曇郡池田町)は「一定の認知度が得られた」とする。本年度はほぼ月1回のペースで行事を企画。4月は大手商社のイラク駐在員などを務めた林幹雄日本・オマーン協会理事(東京)がクルド民族について講演した。

 埴科郡坂城町にあるモスク「ビラールモスクナガノ」によると、県内のムスリムは少なくとも300〜400人。インドネシアやパキスタンなどの出身者の他、日本人もいるという。板垣代表は「日本の安全保障上話題となるホルムズ海峡を考える時にイスラムへの理解は不可欠。日本の福祉現場で東南アジアのイスラム諸国出身者が働くケースも増えるとみられる。イスラムとのつながりは今後さらに重要になる」と指摘。事務局は「信州からイスラムとの付き合い方を提案する動きに育てたい」としている。

 同会は今月26日、信州と中東の鷹(たか)狩り文化に詳しい堀内勝・中部大名誉教授(アラブ・イスラム地域研究)の講演を予定。午後1時半から諏訪市総合福祉センター湯小路いきいき元気館で。問い合わせは平日午前9時〜午後6時に事務局(電話0263・50・5514)へ。会員以外も聴講できる。

(5月22日)

長野県のニュース(5月22日)