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政権の不祥事 うみを出す姿勢どこに

 来月の国会会期末まで1カ月を切った。

 森友、加計学園問題をはじめ、政権の疑惑や不祥事は解明が進まないままだ。中途半端な「けじめ」で幕引きさせるわけにはいかない。

 森友への国有地売却では、財務省が23日に改ざん前の文書全てを国会に提出する。改ざんされた本省分1件と近畿財務局分13件のうち、これまでは本省分全てと財務局分の抜粋を公表していた。麻生太郎財務相によると、23日の提出資料は約3千ページに及ぶ。

 公表は当初、18日をめどとしていた。直前になって政府、与党が先送りした。財務省は提出が遅れる理由を「資料が膨大で慎重な確認が必要」とした。この説明をうのみにはできない。

 23日には、防衛省も陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題についての調査結果を公表する予定だ。同じ日にぶつけることで議論を分散させる狙いではないか。

 北朝鮮が23〜25日の間に核実験場廃棄の式典を予定することも見逃せない。北朝鮮の動向に関心が向けば、国民の目をそらせる。そう踏んでいる節もある。

 森友を巡る文書改ざんで、大阪地検特捜部は佐川宣寿前国税庁長官らを不起訴とする方針だ。8億円の大幅値引きで売却した背任容疑についても立件を見送る方向になっている。

 法廷での真相究明が望めないなら国会の責任は一段と重い。佐川氏が「廃棄した」と答弁していた森友側との交渉記録も残っていることが今月になって判明した。証人喚問をやり直すべきだ。

 疑惑の解明に政府、与党は後ろ向きだ。財務省は交渉記録と、改ざんの経緯の調査報告も順次公表する。併せて改ざんの関係者を処分することで一連の対応に区切りを付けようとしている。

 首相は「うみを出し切る」と述べていた。問題の核心である売却の経緯をうやむやにしたまま、改ざんの処分だけで終わらせるなら首相の言葉とは程遠い。

 加計学園の獣医学部新設も当時の秘書官による「首相案件」との発言など、当事者の言い分が食い違ったままだ。秘書官と学園関係者の面会を「問題ない」とする首相の言い分は納得できない。愛媛県は新たに見つかった文書を国会に提出した。

 政府、与党の不誠実な対応が問題を長引かせている。それぞれの関係者を国会に招致し、事実関係を明らかにする必要がある。堂々巡りの議論で会期末まで追及をかわし続けることは許されない。

(5月22日)

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