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セイヨウハコヤナギ。ヤナギ科ヤマナラシ属で別名ポプラ。風との共演の妙に気付き、近ごろ親しみを覚える木である。わずかな風にも葉がこすれてサワサワと鳴る。白っぽい葉裏が翻るときの模様、空を覆う綿毛の種の乱舞も面白い

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セイヨウハコヤナギの名前は仲間である日本の在来種ハコヤナギ、別名ヤマナラシから付いた。ハコヤナギは軟らかな材で箱を作ったから、ヤマナラシは文字通り山を鳴らすような音が由来という。明治中期に米国から入り、街路樹や庭木に利用された

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とにかく成長が早い。長野市の地滑り跡ではコンクリートの隙間に真っ先に生え20メートル以上の高さに育っている。近くの空き地で直径1メートル余になった大木は日当たりを妨げ、自治会役員が切り倒すのに苦労した。それでも切り株や根からは何本もひこばえが伸び生命力を見せつける

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14年前の台風で3分の1が倒れた北海道大のポプラ並木も回復は早かった。欧州では古くからポプラ材が利用された。女児が生まれると苗木を植え結婚の持参金に備える習わしもあった。嫁入り道具のたんすにするため日本ではキリを植えたのと同じだ

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ポプラの学名の語源は「人民・民衆」を意味する古いラテン語という。英語のポピュラーにつながっている。「図説花と樹の大事典」によると、かつてローマ人はこの木の下に集まり話し合った。実のある論議になったに違いない。わが国会にもポプラのようなさわやかな風が吹かないか。

(5月22日)

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