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公文書管理 また小手先の見直しか

 安倍晋三首相が公文書管理法を見直す考えを表明した。与党ワーキングチーム(WT)が先日打ち出した案に沿い、法改正を含めて検討するという。

 与党WTの案は、森友、加計学園や自衛隊日報を巡って指摘された問題に個別に対応し、善後策を講じる印象が濃い。根源に迫る内容になっていない。

 これでは国民の批判に応えることはできない。

 参院予算委の集中審議で公明党の質問に答えた。公文書が廃棄、改ざんされたことに対し、首相は「責任を痛感している」と述べた。意識改革や電子決裁加速化に取り組む考えを示した上で、「法改正を含め実効性ある対策を進める」と答弁している。

 与党WTの提言は、▽公文書は変更した経緯が追跡できる電子文書の形で保存する▽検索しやすい保存システムを構築する▽決裁後に修正する際の厳格なルールを定める―などを盛り込んでいる。

 これで公文書の透明度が増し、政府の情報公開制度への信頼は戻るだろうか。

 昨年秋の特別国会に提出され、継続審議になっている野党6党の改正案と比べると、問題点がはっきり見えてくる。

 野党案は、▽閣議や国家安全保障会議(NSC)の議事録作成を義務化する▽組織的に使わなくなった文書も公文書として扱う▽原則として30年以内に全て公開する▽特別防衛秘密にも公文書法を適用する―などの内容だ。

 この通りに見直せば、公文書はいずれ国民の目に触れる。歴史の審判にもさらされる。「現在および将来の国民に説明する責任が全うされるようにする」との法の目的に沿った案と言える。

 法改正は野党案をベースに議論すべきだ。

 森友、加計や日報の問題を受け、政府は昨年12月に公文書管理の新しいガイドライン(指針)を決めた。府省ごとに管理規則を定めて運用を始めている。

 文書の保存期間は原則として1年以上とし、府省が勝手な判断で廃棄できないようにしたものの、全体としては小手先の見直しの域を出ない。

 そこに森友学園を巡る財務省幹部の国会虚偽答弁と、答弁に合わせた文書の改ざん、廃棄の疑いが浮上して、政府、与党として新たな対応をせざるを得なくなったのが今の局面だ。

 小手先の対応を重ねても不信は解消できない。法を抜本改正するよう、政府与党に求める。

(5月30日)

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